Products DNA −ものづくりの系譜−

バッファロー史上最速のWi-Fiルーター。電波の「飛び」にこだわり抜いたフラッグシップモデル。

お客様の住宅・利用環境に合わせて、
強力な電波を自由にカスタマイズ。

── バッファローの無線LANにおけるフラッグシップモデルである「WXR-2533DHP」。まずはその特徴について教えてください。

中村 : 「WXR-2533DHP」最大の特徴は視覚的にも目をひく4本の外付け可動式アンテナです。もちろんバッファローでは内蔵式アンテナを搭載した商品もラインナップしていますが、今回あえて外付けにしたのは、「お客様に電波の『飛び』を自由にカスタマイズしてほしかった」からなんです。
内蔵式アンテナの場合、電波は本体を中心に球状に広がっていきます。対して棒状の外付けアンテナでは、アンテナを中心として同心円状に電波が広がります。ホースで水を飛ばす際、出口を絞ればより勢いよく、遠くまで飛ばすことができますよね。電波もそれと同じで、同出力の場合は球状よりも範囲の狭い同心円状に飛ばした方がより遠くまで届くわけです。無線LANの電波は法律による規制も多く、ただ単に出力を上げれば良いというわけではありません。制限のある出力を最大限遠くまで飛ばすためにアンテナを外付けとし、さらに4本という異例の本数を搭載することで、死角をつくることなく家屋やオフィスの隅々にまで電波を届けることを可能としたのです。
とはいえ、ただ4本のアンテナを縦にまっすぐ立てているだけでは、水平方向に電波が飛んでいくにすぎません。4本のアンテナそれぞれを、お客様がご自身の間取りに合わせて細かく微調整することで、自分だけの電波環境をつくり出すことができます。「MU-MIMO」や「ビームフォーミング」への対応をはじめ、フラッグシップならではの豊富な機能が備わっていることはもちろんですが、このカスタマイズの自由度こそ、「WXR-2533DHP」のアイデンティティーですね。

── このアイデアはどのように生まれたものなのですか?

中村 : 現代の住宅環境は、マンションもあれば平屋もあり、2階建てや3階建てなどそのスタイルはさまざまです。つまり、縦に電波を飛ばすべきケースもあれば、横の方が都合の良いケースもある。また、無線LANを必ずしも間取りの中心に据えることができるわけでもありません。加えて、スマートフォンへの対応という点もWXR-2533DHPの至上命題のひとつでした。従来無線LANの利用はパソコンが中心でした。ノートパソコンの場合は多少移動することもありますが、それでもリビング・書斎・ベッドルームなど、限られた範囲です。ですがスマートフォンの場合は完全な移動体。トイレに持ち込むこともあれば、歩きながら使うこともあります。アンテナの向きも一律ではなく、寝転がったときには横向きになり、受信性能が弱まることも頻繁です。そのため建物内の隅々まで潤沢に電波が届いていなくてはいけないわけです。
バッファローが胸を張ってマーケットに送り届ける無線LANのフラッグシップモデルとして、こうしたさまざまな住宅環境と利用環境に対応し、ストレスのないネットワーク環境を提供するために出したひとつの答えが、この特徴的な4本の外付け可動式アンテナだったというわけです。

── 電波のカスタマイズとは、具体的にどのように行うのでしょうか。

中村 : 基本的には電波を届けたい箇所に対し垂直にアンテナを立てることで同心円状に電波が飛んでいきます。ですが、そうした原理がわからなくても「アンテナ設置ガイド」という、間取りに合わせてどの角度にアンテナを調整すれば電波がよく届くかを示した原寸大のシートを用意しています。このシートに記載されている通りにアンテナの角度を調整すれば、お客様の間取りに合わせた電波の「飛び」を実現することが可能です。

スペックに現れない安定性にもこだわり抜く。
それが「フラッグシップ」の誇り。

── ハード面の開発にあたっての苦労を教えてください。

永戸 : 外見的にも「WXR-2533DHP」の特徴となっている4本のアンテナ。アンテナ同士の間隔は、中央が9cm、両端が8cmです。この数値は、実は膨大な数の実験を経て決められているんです。アクリル板に穴を開けてアンテナを立て、どの間隔がもっとも高いパフォーマンスを出せるのかを、何度も測定をしました。もちろんすべて手作業ですよ。
実験場は実際の住環境を模した3階建てのモデルハウスです。部屋数は11。事務所としても使えるような鉄筋の3階建てですので、一般的な住居としては非常に「電波が届きにくい環境」と言えるでしょう。ここで満足のいく結果が出せたことで、フラッグシップとして自信を持ってお客様に提供出来ると確信が持てました。
また、数値に現れない部分ではありますが、熱設計にも細心の注意を払っています。1.4GHzのデュアルコアCPUのほか、2.4GHz帯用、5GHz帯用にそれぞれ専用チップを搭載。しっかりと排熱をしなくてはカタログ上のスペックは高くとも長時間使うとパフォーマンスが落ちるということにもなりかねません。弊社のフラッグシップを名乗るからには、「安定性」も重要な機能のひとつです。大型のヒートシンクを採用し、広範囲から吸排気できる放熱機構を設けることで、熱に負けない「安定性」を実現しています。

── ソフト面ではどのような工夫をされたのですか?

山口 : ソフト面の第一の課題は、ハードで実現した高い性能を「いかにソフト面で落とさないか」ということです。ファームウェアのつくりが粗いと、本来であれば実効スループットの通信速度1Gbpsを超えるところが、下手をすると半分にも満たないということになりかねません。事実開発の初期段階では、使用しているチップセットが最新のものということもあり、チップベンダーが提供するソフトウェアの開発キット自体がまだまだ不安定。動かすことすらままならないという状況でした。そこから2度チップベンダー側で開発キットの改版があり、ようやくファームウェアの開発に目処が立ちました。とはいえ、単に「動く」だけでは意味がない。ハードと同じく、フラッグシップを名乗るからには速度とともに安定性を極めることが必須です。最終的には6ヶ月の期間をかけて、じっくりとファームウェアを磨き上げていきました。 以降は、ハード面と同じくモデルハウスでさまざまな利用シーンを想定してパフォーマンスの測定を行いました。リビングやベッドルームはもちろん、お風呂場にスマートフォンを持ち込んで測定をしたこともあります(笑)実験室レベルで良い結果が出ただけでは意味がありませんからね。

── ハード面、ソフト面での熟成を経てついに発売を迎えたわけですが、お客様からの反応はいかがでしたか?

中村 : なにより嬉しかったのは、やはり「電波がよく届くようになった」という言葉ですね。「WXR-2533DHP」は弊社の無線LANフラッグシップモデルとして、通信速度に目を向けられることも多いのですが、なによりこだわったのはその使い勝手です。日常生活の中でストレスなくネットワークに繋がることができる。4本のアンテナや1.4GHzのデュアルコアCPU、大型ヒートシンクにソフトウェアの精度といったさまざまなこだわりはその目的を実現するための手段です。

フラッグシップを超える性能と安定性。
「40周年記念モデル」とは。

── 現在開発に取り組まれている、「WXR-2533DHP」の40周年モデルについて教えてください。

永戸 : まだ構想段階ではあるのですが、「WXR-2533DHP」を上回る性能になることは間違いありません。とはいうものの、「WXR-2533DHP」は弊社のフラッグシップモデルとして、最高の技術とアイデアを惜しみなくつぎ込んで生まれた商品です。これを超える性能となると、かなりハードルが高くなります。
具体的には、アンテナを再チューニングし、より電波の「飛び」を向上させるとともに、メモリ容量を従来の2倍に増設を検討しています。
外見的な部分では従来品ではブラックだったものが、レッドになる予定です。

── 最後に、みなさんの40周年にかける思いについて教えてください。

中村 : 例えばルーターであれば、LANポートが4つでインターネットポートが1つというのが主流になっています。実はこれ、バッファローが考え出した仕様なんですよ。他にも日々仕事をしているとさまざまな場面で先輩たちが切り開いてきた「スタンダード」に出会います。現在これだけスマートフォンが一般に普及したことで、デジタルの世界には今後また新たな「スタンダード」が生まれてくることでしょう。先輩方の生み出した財産に甘えることなく、その精神を受け継いで自らが「スタンダード」を生み出す開拓者でありたいと思っています。

永戸 : デジタル製品のテクノロジーの進化は文字通り日進月歩。ものすごく早い。現在バッファローの無線LANにおけるフラッグシップは「WXR-2533DHP」ですが、いずれさらに高い性能を持つ商品も発売になります。ですが、できるだけ長くお客様のご家庭で活躍できる、次の世代でも十分に使えるような良い商品をつくることを常に心がけていたいと思っています。

山口 : これから先、例えばIoT(Internet of Things)、つまり冷蔵庫や洗濯機までがインターネットに繋がるような、新たなネットワークのあり方が生まれてきます。そうした時代にも的確に対応し、お客様の暮らしにフィットした商品を生み出していきたいですね。

コラム(こぼれ話)

バッファローのWi-Fiルーターにおけるフラッグシップである「WXR-2533DHP」。電波を自由にカスタマイズできるなど今までにない特性を持つ商品だけに、パッケージの表現にもこだわりが貫かれた。色は赤か青か…キャッチコピーはどうするのか…。何度も会議が招集され、最終案が決まるまでに提出されたデザインはなんと40案。最終案が決定した際、デザイナーの心境は喜びよりも安堵が勝ったのだとか。

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