Products DNA −ものづくりの系譜−

プロフェッショナル、コアユーザーの期待に応えた、転送スピード400MB/secの超高速HDD。

メモリに精通したバッファローだからこそできた、「DRAMキャッシュ」。

── 「HD-GDU3」はUSB3.0とHDDとの間に、「DRAMキャッシュ」を搭載している非常にユニークな商品です。この商品を開発するに至った経緯を教えてください。

伊藤 : USB3.0の規格が登場したのは2008年です。速度にしてUSB2.0の約10倍。1秒間に400MBもの大容量データを転送できるという、当時としては夢のような規格でした。ですが、それほど高速に大容量のデータを転送できるにも関わらず「データを受け取る側」であるHDDの書き込み性能は1秒間に150?180MB程度でしかないんです。これでは、せっかくUSB3.0で高速データ転送を行っても、受け取る側でデータの渋滞が起こってしまい、その恩恵を受けることはできません。そこで「HD-GDU3」ではUSB3.0とHDDとの間に高速な1GBの「DRAMキャッシュ」を搭載。そのキャッシュにパソコンから送られてくるデータをいったん保存し、そこからHDDに順次データを送り出すという仕様にしています。「HD-GDU3」とファイル転送効率化ソフトウェアである「TurboPC EX2」を併用することで、写真1枚800KBとして1000枚の写真がわずか3.5秒で転送できる計算です。パソコン自体は「DRAMキャッシュ」にデータを送り出した段階でデータの転送作業から解放されますから、より効率良く作業を進めることができるわけです。

── 斬新なアイデアですね。USB3.0が登場したことで生まれたアイデアなのですか?

伊藤 : 実はUSB3.0の登場以前から、構想として温めていたものなんです。「DRAM」とはキャッシュだけでなくパソコン用のメモリとしても使われているものです。バッファローは長年メモリの分野でノウハウを蓄積しているので、HDDのキャッシュとしてDRAMを搭載するという使い方も、アイデアとしてはかなり以前からあったものなんです。とはいえ、HDDの転送速度よりも遅いUSB2.0が主流の時代にこのアイデアを実現しても、メリットがありません。パソコン側のスペックが向上したこと、そしてUSB3.0が普及したこと、この2点が実現されたことで、「DRAMキャッシュ」というアイデアが現実のものになったわけです。

── どのようなターゲットを想定していたのでしょう。

川瀬 : やはりハイエンドの「とにかく高速にデータを書き込みたい」というお客様ですね。例えば雑誌や書籍の編集者の方。膨大な量の写真データをストレスなく管理するために「HD-GDU3」を使うというケースも多いです。同じく写真データでいえばカメラマンの方にも好んで使っていただいていますね。フリーランスのカメラマンで「HD-GDU3」を複数台購入してくださっている方もいらっしゃいます。他にも、海外のとあるソフトウェアメーカーでは、納品の際に「HD-GDU3」へデータを丸ごと格納してクライアントに納品する、というケースも聞いたことがあります。つまり、DRAMキャッシュの恩恵を存分に受けることができる「HD-GDU3」のメインターゲットは、やはりプロフェッショナルやコアユーザーということになります。

8TBのHDDを搭載。
バッファロー次世代HDDへの第一歩。

── 開発を進めるにあたって苦労された点はありますか?

伊藤 : 今までになかったアイデアを実現させるわけですから、想定していなかった部品同士の「相性の悪さ」のようなことはたくさんありましたね。必要な電力容量を事前に計算していたのですが、実際に動かしてみたらその容量をほんの少しオーバーしてしまっていたり…。結局、完成までに基板は2度作り直しました。
ソフト的な面で苦労したのは、我々が「合わせ込み」と呼んでいる作業ですね。ソフトウェアとハードウェアにも、実は相性というものがあるんです。その相性をすり合わせるため、ベンチマーク上で400MB/secという転送速度をひとつの目標とし、チップの持つ性格を探りながらファームウェアの設定を細かく調整しては計測し、という作業を数えきれないくらい行いました。

── デザイン的には非常にシックにまとまっている印象がありますが、ここにもこだわりが?

川瀬 : ハイエンドモデルとして、華美でない落ち着いたデザインを採用しています。当時の最上位モデルの証であった赤のワンポイントが映えるデザインにもなっています。

── 今回お二人が手がけていらっしゃる40周年モデルですが、どのような仕様になるのでしょうか?

伊藤 : 現在バッファローでは6TBまでのHDDを製品化していますが、今回の40周年モデルでは、8TBのHDDを搭載する予定です。ヘリウム充填タイプのHDDを採用することで、振動が少なく、静音性も大きく向上させたモデルです。ヘリウムの充填が実用化されたことで、HDD内部のディスク枚数を5枚から7枚に増やすことができたんです。この40周年モデルを皮切りに、バッファローでも8TBのHDDが順次採用されることになります。まさに次世代HDDの第一歩となるモデルになる予定です。

川瀬 : デザイン的には、従来品が黒1色と赤のワンポイントに対し、40周年モデルでは赤1色にミラー、あるいはシルバーのワンポイントになると思います。抽選で5名の方にプレゼントする予定ですが、なかなかインパクトのある外観になりそうですよ(笑)

めまぐるしく動く社会、移り変わるニーズ。
HDDの未来とは。

── 「HD-GDU3」が発売されて2 年が経ちます。今後HDDはどのように進化していくのでしょうか。

川瀬 : 過去は高速化や大容量化の方向へHDDは進化してきましたが、今後、HDDは多様化していくと考えています。例を挙げるとAV用、NAS用、監視カメラ用等、今後はそれぞれの利用シーンに合わせたHDDが求められます。我々は特にニーズの強いAV用のHDDを使用した録画用途向け製品を展開しており、このニーズは、近くPC向けを逆転するでしょうね。だからこそ、今後は24時間稼働させることを想定したモデルや、リビングに置いても生活を邪魔しない静音性に優れたタイプなど、テレビ用に特化したモデルが登場することになると思います。

伊藤 : そうですね。具体的には1年ほど前から商品化の始まった「SeeQVault(シーキューボルト)」対応のモデルというのも、そうしたテレビ向けHDDのひとつです。「SeeQVault」というのは、これまで異なるテレビやレコーダーで録画したデータは、フォーマットが違うので別のレコーダーに移し替えても基本的には視聴することができなかったんです。ですが、録画するレコーダーが「SeeQVault」に対応していて、移し替えた先のレコーダーも対応していれば、問題なく見られるということを目的とした規格で、TVの故障や買い替え時に役立つ規格となっております。この規格に対応したHDDが1年ほど前から商品化が始まっているのですが、まだまだラインナップが充実しているとは言えません。

── 40周年を迎えるにあたっての、おふたりの抱負を聞かせてください。

伊藤 : 世の中はめまぐるしく動いています。人の暮らしもそれに伴って劇的に変化していきます。我々が世に送り出す商品もそれに合わせて変わっていかなくてはいけません。お客様のニーズをいち早くつかんで、いち早く商品として世の中に提供していく。そうしたスピード感を持った商品開発をこれからも心がけていきたいですね。

川瀬 : 40年。この長い歴史は、先人たちが自らの経験や、知識、技術といった財産を惜しみなく注ぎ込んで紡がれた、かけがえのないものです。時代は変わり、テクノロジーは日々進歩していきますが、変わらず「性能の良い商品」「使いやすくわかりやすい商品」をつくり続けることで、先人たちの業績を引き継ぎ、これからの歴史を紡いでいきたいと思っています。

コラム(こぼれ話)

インタビュー中にも登場した「SeeQVault」に対応したTransferJetアダプター「BSCRTQ01/V」が11月下旬に発売になる。東芝製ブルーレイディスクレコーダー「レグザサーバー DBR-T670」などと接続。アダプターの上にスマートフォンを置いておくだけで録画した番組が高速で転送されるというもの。1時間の番組を転送するのにかかる時間はわずか2分足らず。開発を担当した伊藤も自信を持ってオススメする新商品だ。

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