── 無線LAN中継機とはどのような機能を持った商品なのか、あらためて教えていただけますか。
小野:端的に説明すると、無線LAN親機から送られる電波をより遠くに届けるため、文字どおり電波を「中継」するものです。スマートフォンの普及に伴い、データ通信量の超過による速度規制を避けるため、ご家庭では無線LANでの通信に切り替える方が飛躍的に増えてきました。ただし、スマートフォンはリビングや寝室、書斎、あるいはバスルームなど、あらゆる場所で利用されます。そのため、無線LANの電波は家中のあらゆる場所に届いていなくてはならないんです。にもかかわらず、新しい住宅では密閉度が高く壁材の品質も高い。無線にとっては非常に「届きにくい」環境になってしまっています。無線LAN中継機は親機が飛ばす電波を中継することで、家中のあらゆる場所に無線の「死角」をなくすことができるんですよ。
── 今回の「WEX-1166DHP」、通信速度と電波の飛びにこだわっているそうですね。
佐藤:従来モデルである「WEX-733DHP」と比較して、スピード性能と電波の飛びをさらに向上させ、約2.3倍※もの通信速度アップを実現しました。これは最近の無線LAN親機の通信速度向上に伴ったニーズでもあります。せっかく通信速度の速い高性能な親機を導入しても、中継機がその速度に対応していなければその恩恵にあずかることはできませんから。また、通信範囲についてもさらなる拡大を実現しています。一般的に電波は到達範囲の末端では不安定になります。たとえ電波が届いていても通信速度にストレスを感じる不安定なものでは意味がありません。通信範囲を広げることは、安定した電波をより遠くまで届けるという意味でもとても重要なことなんです。
小野:「WEX-1166DHP」には2×2の可動式アンテナが搭載されています。電波はアンテナから同心円状に飛んでいきます。このアンテナを微調整することで、狙った場所に潤沢な電波が届けられるようになっています。
佐藤:通信速度向上の面では「デュアルバンド同時接続」も大きな役割を果たしています。親機⇔中継機と中継機⇔子機の通信を、それぞれ5GHz帯と2.4GHz帯の2帯域を同時に使用することで通信速度が半減することがないんです。
── 無線LAN中継機は住宅のどこに設置するのが最も高いパフォーマンスを得られるのでしょうか。
佐藤:親機からの電波が安定して届いていて、かつなるべく親機から離れた場所ということになるのですが、住宅事情によっても最適な場所は異なります。そこで、スマートフォンアプリ「Station Radar(無料配布)」から「中継機設置ガイド」を利用することで、きちんと使いたい場所に電波が届いているかを確認しながら中継機の設置場所を決めることができるようになっています。電波が届いていれば「良好です」と表示される明快なガイドですから、女性やご年配の方でも簡単に設置場所を割り出すことができると思います。
── かゆいところに手が届く機能ですね。他にも「WEX-1166DHP」の特長的な機能はありますか?
佐藤:中継機に接続したPCやNASのデータを自分以外はアクセスできないようにする「パーソナルモード機能(特許出願済)」も搭載しています。例えばお子さんが操作しては困るデータも、この機能を使えば安全に隔離することができるわけです。社内では「お父さんモード」と呼ばれている機能です(笑)。
── 開発にあたっての苦労はどのようなものがありましたか?
小野:私も佐藤も無線LANに携わって10年を超えるキャリアがあります。ほとんどの苦労は苦労と思いませんが、試作品が満足な性能を出せているかどうか、使用環境を想定したテスト用の住宅で測定する工程は毎回タフな作業ですね。なにしろ空調が効いておらず、夏は暑く冬は寒い(笑)。ただ、鉄筋コンクリート3階建てのこの環境ですみずみまで電波が届くことが確認できたことで、「WEX-1166DHP」に自信を持つことができました。
佐藤:「WEX-1166DHP」は通信速度や通信距離といった無線LAN性能の向上はもちろんですが、安定性や耐久性、設置のしやすさといった、スペックに現れない「使いやすさ」にもエネルギーを注ぎました。
小野:スマートフォンの普及によって無線LAN中継機はコアユーザーだけでなくお子さまから主婦、ご年配の方まで幅広いユーザーに利用される商品になりました。だからこそ最新モデルである「WEX-1166DHP」はもっとも高性能であるとともに、もっとも使いやすい中継機であることにこだわり抜きました。自信をもってどんなお客様にもオススメできると胸を張れる商品に仕上がっていますよ。
※速度比較とその測定環境については、商品の詳細ページをご覧ください。