── 「Surcam CR1000シリーズ」はバッファローとしてこれまでになかったジャンルの商品ですね。
その特徴を教えていただけますか。
山﨑:「監視カメラ」というこれまで注力してこなかったフィールドに、バッファローならではのソリューションを提供できないかというコンセプトからスタートしたプロジェクトです。これまでの監視カメラの多くは、IPアドレスなどネットワークの知識がなくては設置すらままならない大掛かりなものか、極めて簡易な家庭用の両極端です。つまり、バッファローが得意とする小規模店舗やオフィスでは取り入れにくいものばかり。そこに勝機があると考えました。カメラ数は2台と4台の2タイプ。フルHDの2倍である400万画素の解像度を実現。録画した映像は標準で2週間(最大で40日間)の保存が可能です。屋外にも設置可能なIP66の防水性能を持つほか、赤外線照射による夜間撮影機能も持ち、24時間あらゆるシーンでの撮影が可能です。そして「Surcam CR1000シリーズ」のもっとも大きな特徴は、設置も使用方法もとにかく「かんたん」だということです。「PoE給電」に対応しており、LANケーブルを繋ぐだけでカメラを作動させることができます。また、PCを必要とせずモニターと付属のマウスを本体につなぐだけで操作が可能となっています。価格面でもターゲットとする小規模店舗・オフィス向けに機能を絞りこむことで、カメラ2台のタイプで19万5000円(税抜)、4台のタイプで23万5000円(税抜)という低価格を実現しました。
※価格は2016年9月時点のものです。
── 非常に大胆な商品構成ですね。
山﨑:もちろん根拠はあるんですよ。実は「Surcam CR1000シリーズ」が現在の形になるまでに、何度か「バッファローが新たに監視カメラシステムを発売する」という内容の模擬的なフライヤーを作って、地元大須商店街の商店やオフィスに「こんな商品ができれば欲しいと思いませんか?」とヒアリングに回っているんです。企画段階から商品の完成までに100件近くのヒアリングを行いました。当初は「欲しいのはそういうものじゃない」と厳しい意見をいただいたことも。ですがカメラが2台or4台というラインナップをはじめ、インターフェイスや各種の機能もこうした仮説と検証を繰り返す中で具現化したものなんです。今回これだけ価格を抑えることができたのも「我々のターゲットが求めているのはこの機能だ!」と自信を持って機能を絞りこむことができたからですね。
三宅:また、「Surcam CR1000シリーズ」での初めての取り組みとして、大須商店街や全国のお客さまに、試作機をお渡ししたテストマーケティングにもご協力いただいています。「現場」で、どのように運用され活用されるかをテストしているんです。そうして得られたフィードバックをもとに改善を重ねました。新発売の商品ではありますが、お客さまの意見がいたるところに反映された内容になっていると確信しています。
── どういった点にヒアリングやテストマーケティングが活かされたのですか?
山﨑:数え切れないほどありますね。例えば夜間の商品倉庫の監視ニーズも結構多くの方からご意見をいただきましたので、赤外線照射の夜間撮影を必須機能としました。
三宅:「Surcam CR1000シリーズ」は防犯用途だけではなくマーケティング用途にも使えるものと考えています。このアイデアもテストマーケティングにご協力いただいたお客さまが「この角度に向けていれば工場の作業員の仕事が一望できる」「店舗の入り口にいるお客さまがどの商品を手に取っているかがわかればセールストークの精度が上がる」といったように、防犯用途以外の可能性に気づかせてくれたからなんです。
山﨑:お客さまのニーズをひとつひとつすくい上げて、機能や価格を組み立てていく。そして「それが欲しかったんだよ」と言ってもらえるまで仮説と検証を繰り返して商品を作り上げてきました。バッファローの理念のひとつに「顧客志向」というものがあります。お客さまのニーズに最大限応えるためには、お客さまの声に耳を傾けるしかない。そのシンプルな答えを具現化したのが「Surcam CR1000シリーズ」なんです。
三宅:その意味で、「Surcam CR1000シリーズ」はバッファローとお客さまが二人三脚で生み出した新商品であると言えると思いますね。