193台のアクセスポイントを導入し学内をカバーするWi-Fiネットワークを構築。キャンパスライフでのノートPC活用を促進

別府大学 様

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大分県別府市に本部キャンパスを構える別府大学では、ICTを活用した教育のさらなる推進を目指し、2015年度の新入生から一人一台のノートPCの保有および利用を方針として決定。加えて、学内のどこからでもネットワークへの接続を可能とするため、193台のWi-Fi(無線LAN)アクセスポイントを導入しました。学内全域をカバーするWi-Fi環境が整備されたことで、ノートPCの活用が浸透、学生の勉学に臨む態度や、キャンパスライフに大きな変化がもたらされています。

別府大学文学部 人間関係学科学科長・教授 別府大学・別府大学短期大学部 メディア教育・研究センター情報教育・研究部 部長 西村靖史氏(以下西村先生)、別府大学短期大学部初等教育科 准教授 メディア教育・研究センター情報基盤整備部 部長 後藤善友氏(以下、後藤先生)

概要

開学から107年の歴史を重ね、総合的な学園として発展

ICTを活用した教育にも注力し、学内インフラを整備

ノートPCの利用促進にWi-Fiによる高速ネットワークが必須に

地域に貢献する人材を育成する、総合的な学園として発展

「真理はわれらを自由にする」を建学の精神に掲げる別府大学は、その前身である別府女子大学が1950年に開学してから65年、母体となる豊州女学校の1908年の創設からは107年という歴史を持ちます。現在では大学院、大学、短期大学のほか、高等学校、中学校、県下で唯一の私立小学校、幼稚園、保育所を有する総合的な学園として発展。地域に貢献できる大学・学校を目指し、その将来を担う人材を育成してきました。

そうした別府大学では「文学部」「食物栄養科学部」「国際経営学部」の3学部と、「別科日本語課程」、大学院が設置されており、海外からの留学生を含めた約1,814名の学生が日々学んでいます。隣接する別府大学短期大学部は「食物栄養科」「初等教育科」「保育科」「専攻科(福祉・初等教育)」を有し、649名の学生が在籍しています。

2015年の新入生から一人一台のノートPC利用を決定

別府キャンパスのPC教室には約300台、
大分キャンパスのPC教室には62台のPCが設置されており、
これまでの情報教育の主軸を担っていた

別府大学では、ICTを活用した教育にも力を入れています。これまではPC教室の設置により基礎情報教育の授業や自習でのPC利用を進める一方、語学などのeラーニング環境も整備してきました。さらに2014年には学内ネットワークを更新し、幹線1Gbps、支線100Mbpsに強化。教員・学生が授業内外で自由にアクセスできるオープン系ネットワークと、教員用の学内用ネットワークと分離して運用されています。

さらに学内外での学生のPC利用を促すため、従来のPC教室を主軸とした環境から、全学BYOD(Bring Your Own Device)の推進へと移行していく学内方針を決定。2015年の新入生約300名を対象に一人一台のノートPCの所有と利用を定め、授業や自習でのさらなる積極的なPC活用を進めています。

学生のノートPC利用を促進するため、学内をカバーするWi-Fi環境を構築

このようなノートPCを用いた授業や自習、さらにキャンパスライフでの活用を促進していくにあたり、先述した新学内ネットワークと同時に整備されたのが、校内のどこからでもネットワークにアクセス可能とするためのWi-Fi環境です。そして、その基盤を実現するためのソリューションとして選択されたのが、富士通エフサスが提案したバッファローのWi-Fi商品でした。

これまではPC教室に行かなければPCとネットワークが利用できなかったが、現在ではWi-Fi接続が可能な自習スペースを拡大。学生は自身が保有する、あるいは貸し出し用のPCを利用して、いつでも自主学習ができるようになっている

学校法人 別府大学

学校法人 別府大学による運営される私立大学で、1908年、豊州女学校を母体として開設。大分県別府市に別府キャンパスを、大分市に大分キャンパスを有する。現在では大学、大学院のほか、短期大学部、看護専門学校、高等学校、中学校、小学校、2つの幼稚園(別府大学附属幼稚園、明星幼稚園)および、2つの保育園(境川保育園、春木保育園)を付設した総合学園として、地域に立脚した人材育成、教育活動を推進している

所在地

〒874-8501 大分県別府市北石垣82

電話

目標・課題

ノートPCの利用拡大に際して、PC教室の拡充では対応が困難

アクティブラーニングの推進に情報アクセス環境が不可欠

Wi-Fi環境の整備でスムーズなネットワーク接続を目指す

PC教室を主軸としたICT教育に見え始めた限界

「社会におけるICTの活用が重要性を増す中、学生が卒業後、社会人としてすぐに活躍できるようになるためには、情報リテラシーを基礎力として身につけておくことが必要です。そうしたことから、基礎情報教育をカリキュラムに取り入れ、PC教室での授業を行ってきました」と、後藤先生は説明します。

しかし、語学教育等でのeラーニング教材の活用も進むにつれ、PC教室でのICT教育には限界が見え始めていました。西村先生は、「授業時間外でもPCを使った自主学習に取り組んでもらうように努めてきましたが、授業中はPC教室が占有されてしまいます。学生がいつでも自由にPCを使えるようPC教室の拡大も考えましたが、先を見据えた規模の適正化や整備計画の立案が難しいという問題がありました。そもそもPC教室でなければ自習できないこと自体が、自主学習の障壁となっていたと考えていました」と話します。この課題を解決するための方策が、一人一台のノートPCの保有だったわけです。

アクティブラーニングの推進に、スムーズな情報アクセス環境が不可欠

加えて別府大学では、学生が専門的な知識や実践的な技術を、主体的な学習を通して身につけられるよう「課題解決型授業」や、「アクティブラーニング」型の学習形態も積極的に取り入れ始めています。

西村先生は、「Webからの教材を参照し事前学習を行ったうえで、教室内ではプレゼンテーションやグループワーク、ディスカッションを中心とした授業を進めています。このようなアクティブラーニングを実践していくためには、ノートPCの活用だけでなく、教室の中であってもさまざまな情報に容易にアクセスできるような仕組みが不可欠であると考えていました」と話します。

学内ネットワークの更新を機に、全学的なWi-Fi環境の整備を決定

Wi-Fiアクセスポイントは廊下のほか、中教室などの室内も設置され、
授業中の快適な通信が実現されている

これらの要望を満たすとともに、より充実したICT教育環境を実現するために不可欠なインフラとして挙げられたのがWi-Fi環境でした。「学内ネットワークの更新と合わせて、次世代のインフラとしてWi-Fi環境をキャンパス全体に広げることを決定しました。Wi-Fi環境が整備されればノートPCだけでなく、学生が保有するスマートフォンなどもネットワークに快適に接続できるようになります。また授業やキャンパスライフの中で、ネットワークがより身近に使えるようになれば、情報リテラシーも身につけられると考えたのです」と西村先生は話します。

教室だけでなく学生食堂をはじめとしたオープンスペースにおいても
Wi-Fiが整備されたことで、当たり前のようにノートPCを広げる学生
の姿が多数見受けられるようになった

実は別府大学では、学生ホールや一部の学科の教室などで、先行してWi-Fi環境が導入されていました。しかし、後藤先生は「先生が個別に導入、運用しているものなど、学校側として管理していないWi-Fiアクセスポイントも存在していました。それらを学校側としてきちんと整備、管理しようと考えたことも、全学的なWi-Fi環境の導入に踏み切った理由の1つです」と説明します。

解決策

バッファロー商品で学内をほぼ網羅するWi-Fi環境を構築

法人様向け無線アクセスポイント「WAPM-APG600H」を186台導入

研究室には屋内用ケーブル型アンテナ「WLE-LCX30」を選択

導入商品

法人様向け11n/a&11n/g/b 同時使用
インテリジェントモデル
Wi-Fiアクセスポイント

法人様向け11n/a&11n/g/b 同時使用
インテリジェントモデル
Wi-Fiアクセスポイント

屋内用ケーブル型アンテナ

ネットワーク集中管理ソフトウェア

ハイパワー PoEインジェクター 1CHモデル

性能と価格のバランス、多彩な商品ラインナップを評価しバッファローを選択

別府大学は本格的なWi-Fi環境の導入に向け、以前より学内ネットワークの構築とサポートを担ってきた富士通エフサスに提案を依頼します。西村先生は、「当初、1台のWi-Fiアクセスポイントに何人が接続してくるのか、明確に定めるのは難しいと考えていました。そこで学内を網羅しつつ、最低限のアクセスを保証するのに必要なWi-Fiアクセスポイント数を限られた予算内で導入できるよう、妥協点を富士通エフサスに探ってもらったのです」と振り返ります。加えて、アクセスポイント間を移動しても通信可能なローミング機能や、大規模導入に伴う運用管理負荷を抑制する仕組みも要件として掲げられました。

これらの要件を満たすものとして、富士通エフサスから提案されたのがバッファローのWi-Fi商品です。提案を担当した富士通エフサス クリエイティブリーダーの中村恵吾氏は、「別府大学様の要件を満たすにあたり、十分な機能を備えると同時に大規模展開に際してもコスト面で優位性を持っていたのが、バッファローのWi-Fi商品でした。加えてWi-Fiアクセスポイントの大規模運用時でも効率的な管理が可能なWi-Fi管理システム『BN-ADT』を有していたことも評価ポイントになりました」と説明します。

186台のWAPM-APG600Hで校内のほぼ全域をWi-Fi化

今回のプロジェクトでは、最終的に186台の「WAPM-APG600H」が導入されました。中村氏は「事前にサイトサーベイを実施し、障害の有無と電波の搬送状況をチェックしながらWi-Fiアクセスポイントの設置場所を決めていきました。特に今回のケースでは最初に導入台数を決定したこともあり、それできちんと通信ができるのか、確証をとるといった意味合いもありました」と説明します。

最終的に廊下や教室等に設置されたWi-Fiアクセスポイントにより、1台あたり15~20人程度の学生をカバーするWi-Fiネットワークが構築されました。端末とWi-Fiアクセスポイント間は最大300Mbps(規格値)の高速通信が可能であるほか、ローミング機能の提供により、移動しながらでも途切れることのない快適な通信が実現されています。

一方、各Wi-Fiアクセスポイントと学内ネットワークの物理接続に加え、PoE給電機能を提供するために、インジェクター「BIJ-POE-1P/HG」も導入。これにより、Wi-Fi用ネットワークの構築に際して、電源周りの工事をはじめとした設置費用が抑制されています。 このほか、建屋間通信の用途として、7台の「WAPM-APG300N」が導入されています。

屋内用ケーブル型アンテナが電波の死角を皆無に

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さらに今回は、屋内用ケーブル型アンテナ「WLE-LCX30」も採用されています。WLE-LCX30は、漏洩同軸ケーブル(LCX : Leaky Coaxial Cable)上から電波の送受信を行うケーブル型アンテナで、Wi-Fiアクセスポイントと接続して利用します。ケーブルの設置範囲全体で広く電波の送受信が行えるため、電波障害物があって届かなかった場所にも電波を搬送させることが可能です。

「先生方の研究室は小部屋で分かれており、隅々にまで電波を供給するためにWi-Fiアクセスポイントの数を増やすことも考えましたが、コスト増に加えて、チャネル設計や管理が煩雑になってしまいます。そうした課題に対して、バッファローからWLE-LCX30を提案され、その有効性を判断し、採用に至りました」(中村氏)。
WLE-LCX30の導入により、Wi-Fiアクセスポイントの導入台数が抑制されるとともに、研究室の隅々にまでも快適なWi-Fiアクセスが実現されています。

天上裏に設置されたWi-Fiアクセスポイントと同軸ケーブル型アンテナのWLE-LCX30。WLE-LCX30によりコストを抑制しながら隅々にまで電波を搬送できるようになった

別府大学Wi-Fiネットワーク システム構成

効果

安定したWi-Fi通信が、ICT教育を後押し

Wi-FiとノートPCの利用浸透で、学生の意識も向上

ICTによる校務の効率化も推進

電気や水道同様、当たり前のインフラとなったWi-Fi環境

2015年4月から本格的な運用が開始されたWi-Fi環境ですが、快適な通信が実現されており、現在では先生方や学生の日常にすっかり溶け込んでいます。後藤先生は、「電気や水道と同様に“利用できて当たり前のインフラ”といった感覚で使われています」と話します。また、西村先生も「海外の教材サイトにアクセスして複数のPCから動画を閲覧することもありますが、ストレスをまったく感じることの無い、スムーズなアクセスが実現できています」と評価します。

Wi-Fi環境の整備に伴い、Web上に展開されている学習管理システム(Learning Management System:LMS)の活用もさらに広がりをみせており、サーバー上にある教材や課題のダウンロードをはじめ、レポートや課題のアップロードなども日常的に行われているといいます。

キャンパスライフのあらゆる場面で、ノートPCの利用が浸透

186台のWAPM-APG600Hが導入されたことで、
学内のほぼ全域をカバーするWi-Fi環境が整備。
学生のノートPC利用を強力に後押ししている

Wi-Fi環境は、学生のノートPC利用も促進しました。後藤先生は、「昨年まではノートPCを広げていたのは一部の学生だけでした。しかし、今ではノートや筆記用具と同様に、ほとんどの学生にとってごく普通のツールに変わりつつあり、授業でも積極的に使われています」と強調します。例えば、クラウドサービスである「Evernote」を用いて授業のノートをとったり、学生間でその情報を共有したりするといった動きも多々見受けられるようになったといいます。

また、西村先生も、「PCの利用や情報へのアクセスに際して、場所および時間的な自由度が確保されたことで、自身のキャンパス内における学習スタイルや、スケジュール設定をどうアレンジするのか、きちんと思考できる学生が増えています」と評価します。
このほか、学生食堂で留学生が母国の家族とSkypeで通話するなど、授業外のキャンパスライフにおいてもWi-FiとノートPCは様々な場面で利用されています。

校務のICT活用にもWi-Fiが貢献

一方、先生方の校務の効率化の面でもWi-Fiが有効となっています。西村先生は「学生の様子を見て『自分達も使ってみよう』という動きが広がりつつあります。LMSの利用だけでなく、教授会のメモをEvernoteでとったり過去の議事録を参照したりするほか、クラウドサービスを用いてスケジュール管理を行うなど、Wi-Fiの導入は先生方のICT活用促進にも貢献しています」と評価します。

今回のプロジェクトを振り返り後藤先生は、富士通エフサスとバッファローに対して、「運用後を見据えた商品選定や設計、構築を行ってくれて感謝しています」と評価します。 西村先生も、次のように総括するとともに、今後の期待を述べました。
「予算やスケジュールの厳しい制約の中で、富士通エフサスはこちらの要求を満たした適切な提案を行ってくれました。また、バッファローには職人気質が感じられ、商品にトラブルが生じた時でも、その原因究明や対応に根気強く真剣に取り組んでくれました。今後も新しいテクノロジーを用いた、新しい視線に基づく提案を期待しています」


取材後記

取材時の「学生たちはノートPCだけでなく、スマートフォンとLINEグループを用いて授業や試験情報を共有しています。学内で新しいツールを使い、情報を積極的に共有し合うことで、皆がより磨かれていく時代を迎えているのです」という西村先生の言葉が印象的でした。新しい時代の教育を推進するインフラとして、Wi-Fi環境は必須のものであることは間違いありません。


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