市内21の小中学校で無線LANネットワークを構築。シンクライアントシステムの利用が可能に。

銚子市教育委員会 様

写真左より、教育委員会 加田純二氏
情報室 齋藤博臣氏
情報室室長 飯島茂氏。

漁港で知られる千葉県北東部の町・銚子市。同市には13の小学校と8つの中学校の計21校があり、合わせて4800人ほどの小中学生が学んでいます。これを指導する先生方が使用する校務用のシンクライアントシステムを支えるネットワークとして、バッファローの無線LANをすべての小中学校に導入していただきました。

取材協力

銚子インターネット株式会社様

概要

日本屈指の漁港を持つ千葉県北東部の市。

しょうゆ、ぬれ煎餅、犬吠埼、犬吠埼灯台。

市内に計21の小中学校。児童生徒数約4800人。

銚子市の概要を教えてください

千葉県北東部に位置し、関東きっての大河として知られる利根川の河口近くに市域が広がっています。銚子市といえば漁港をイメージされる方も多いでしょうが、事実、全国の漁港の中で銚子漁港は全国有数の水揚量を誇っており、水産業および水産加工業はしょうゆ製造などと並び、銚子を代表する産業になっています。

観光名物にも事欠きませんね

灯台で知られる犬吠埼やマリンパーク、地球の丸く見える丘展望館などが見所ですが、名産や特産品も多く、漁港にふさわしい各種の海産物のほか、千葉特産のピーナッツ菓子やぬれ煎餅なども人気を集めています。ことにぬれ煎餅は今でこそ各地のものが出回っていますが、元祖というかルーツはここ銚子なのです。

学校のICT環境についてはいかがですか

現在、市内には13の小学校と8つの中学校があり、合計で約4800人の子どもたちが勉学にいそしんでいます。インターネット教育にも力を入れ、教育用パソコンを設置した教室を設け、一部の学校にはLANケーブルも敷いています。

銚子市教育委員会

銚子市は、東京から約100km、関東平野の最東端に位置しています。三方を水に囲まれ、利根川河口から君ケ浜、犬吠埼、屏風ケ浦に至る海岸線は、砂浜あり、岬あり、断崖絶壁ありと、変化に富んだ雄大な景観美を織りなしています。また、全国屈指の水揚げ量を誇る銚子漁港、歴史と伝統を実感できる醤油工場、さらには、これらの産業基盤から産出される豊富で新鮮な食材や特産品を備えるなど、多くの地域資源に恵まれた魅力あふれるまちです。銚子市教育委員会は、小中学校での学校教育のほか、市民センターや図書館、青少年文化会館などを通じた生涯教育のサポートを行っています。

所在地

〒288-8601 千葉県銚子市若宮町1-1

電話

目標・課題

文部科学省の補助を受け、学校でのICT環境整備に着手。

シンクライアントシステムの導入を検討・決定。

シンクライアントシステムを支えるネットワークを導入。

ICT環境を整備するきっかけは何でしたか

学校におけるICTの環境整備を進めてきた文部科学省の補助事業ですね。整備事業として正式に決まり、動き出したのが平成21年度。すぐさまどう整備を進めていくかということの検討に入りました。せっかくの補助ですから、市の予算では難しい大規模な整備を考えました。

それでシンクライアントを検討されたのですね

校務用のためのICT環境を整備したいという気持ちは以前からありました。そこで検討を重ねるうち、シンクライアントシステムを導入してはどうかという話になったのです。安全性を十分に確保するためにも、サーバーやデータを一ヶ所に集め、一括して管理のできるシンクライアントシステムが最適だろうと判断したわけです。

ネットワークシステムは?

ご存知のようにシンクライアントシステムは処理のほとんどをサーバー側で行い、端末はキーボード入力とモニターによる表示くらいしか機能を持ちません。ということはシステムを使っている間は常に端末とサーバーが通信状態にあることになります。ネットワークあってのシンクライアントシステムである以上、選定は慎重にならざるを得ませんでした。

解決策

コストパフォーマンスの良さと信頼性から無線LANを選択。

各校に必要な数のアクセスポイントとスイッチを設置。

銚子インターネット様が全校調査。設置場所と設置数を決定。

導入商品

エアステーション プロ
11n対応 11a&g&b
無線LANアクセスポイント

レイヤー3 Giga対応
インテリジェントスイッチ

ハイパワー
PoEインジェクター
4CHモデル

ネットワーク
集中管理ソフトウェア
BUFFALO Admin Tools

テラステーション
管理者・RAID機能搭載NAS
1Uラックマウントタイプ

無線LANにされたのはなぜですか

LANケーブルが敷かれている学校は一部あったのですが、他は未整備だったため新たに工事するとコストがかさみます。そこでコストパフォーマンスに優れた無線LANを選ぶことにしました。協力いただいた有識者からは無線LANでも十分な速度が得られ、安全性も高い。とくにバッファロー製は信頼性に優れているとの指摘をいただいていました。

どのような構成になったのですか

予定されているレイヤー3スイッチ設置場所から無線LANアクセスポイントの距離や無線LANアクセスポイント設置場所のサイトサーベイ等、現地調査は地元プロバイダーである銚子インターネット様が実施。レイヤー3スイッチと無線LANアクセスポイントの間にPoEインジェクターを設置することにより、無線LANアクセスポイントは電源不要という構成となりました。また、学校側と、サーバーとデータのあるデータセンターとの間は専用線でつなぐという構成になっています。

管理面ではいかがですか

サーバーを置いたデータセンターには、バッファロー製のNASであるテラステーションをバックアップ用として設置し、安全性を高めています。また、集中管理ソフトウェアBN-ADTを導入しているため、学校側で何か問題が発生したり、設定を変えなければならない事態が発生した場合でも、リモートですべて対応できるようになっています。

効果

指導要録や出席簿の作成で活用を開始。

無線LANは順調。特殊ケースでは技術者派遣で対応。

次の課題は児童生徒向けICT環境の整備。

どういう利用をされているのですか

平成22年度から利用が始まっていますが、まず出席簿の作成にシンクライアントシステムを使っていただき、23年度からは指導要録の作成にも利用するようになりました。校務支援ソフトウェアも入れましたから、今後、シンクライアントシステムを使った先生方の校務作業は着実に増えていくだろうと予測しています。

通信環境はいかがですか

ほとんど問題は起きていません。先生方の中には、ちょっと遅く、使いにくいという印象を持たれる方もおられましたが、これはシンクライアントシステム特有の問題で通信環境とは関係がないと考えています。ただ、ある学校では無線が途切れるという特殊なケースもあり、このときはすぐさまバッファローさんの技術者に対応していただきました。

次は児童生徒向けのICT環境

校務用としてシンクライアントシステムの導入が終わった今、これからの課題は当然、児童生徒向けのICT環境をどう整備していくかになってくるでしょう。いずれ電子黒板や大型テレビなどの導入を図っていく必要があるでしょうが、そのための通信環境としては、今回の結果から考えても当然、無線LANが主流になってくるだろうと考えています。


取材後記

シンクライアントシステムを導入された銚子市の教育委員会様ですが、同システムの特性を生かすためにも無線LANによる安定した通信環境は不可欠でした。今回の事例は、無線LANシステムおよびテラステーションと、シンクライアントシステムとの“相性のよさ”が再認識できた案件と言えそうです。


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