高校1年の全教室に1人1台タブレット対応の文教向け無線LAN機器を導入。オンライン個別英会話サービス「Weblio英会話」のレッスンを多人数が同時に受講できる、高速で安定した通信環境を実現

聖望学園中学校高等学校 様

聖望学園中学校高等学校 ICT委員会 教諭の永澤勇気氏(以下、永澤教諭)

埼玉県飯能市にある学校法人 聖望学園中学校高等学校では、2016年から中学校でiPadと無線LAN環境を用いた授業をスタート。2018年からは、高校1年の12教室にも無線LAN環境を整備し、オンライン個別英会話サービス「Weblio英会話」によるマンツーマンの英会話レッスンを、生徒が快適に受けられる環境を実現しました。さらに今後、高校棟の残り21教室への無線LAN環境整備を進めるなど、iPadをフル活用した積極的なICT教育を実践しています。

概要

電子黒板やタブレット端末などを用いて、積極的なICT教育を実践

オンライン個別英会話サービス「Weblio英会話」の導入を検討

教室でレッスンを受けるために無線LAN環境を整備

積極的なICT教育で“世界に通用する人材”を輩出

iPadを用いた授業が積極的に行われている聖望学園

1918年に、埼玉県で最初の私立の実業学校として創立した学校法人 聖望学園中学校高等学校(以下、聖望学園)。理念の「敬・愛・信・義」には、キリスト教主義教育を通して「神を敬い、人を愛し、正義を重んじ、信仰にたつ」という教育方針が表れています。

聖望学園では“世界に通用する人材”の輩出を目的に、電子黒板やタブレット端末などを用いたICT教育、そして国際感覚を養うための英語教育やグローバル教育にも積極的に取り組んでいます。2016年からは、中学校の生徒に持ち帰ることができるiPadを貸し出し、学びに必要な資料をデジタルデータで配布するなど、校内および家庭での学習に大きな成果を上げてきました。また、2018年から、中学校および高校1年生の教室に電子黒板を設置。これまで中学校のみだったiPadの貸し出し対象を高校1年生まで拡大しました。こうした取り組みは、2020年にデジタル教科書が導入される見通しであることも見据えて、生徒が生き生きとした学校生活を送れることを目指したものです。

「Weblio英会話」の導入で求められた無線LAN環境

現在、教育現場において注目されているトピックスのひとつに、2020年度に向けて進む大学入試改革が挙げられます。これは、従来行われていたセンター試験に代わり、2020年度から大学入学共通テストが開始されるというものです。特に英語科目では、「読む・聞く・書く・話す」という4つの技能を評価。これらを一斉に実施することが難しいため、すでに4技能評価を行っている「英検」や「TOEFL」など7団体24の民間資格・検定試験の活用が提示されています。

こうした大学入試制度の変更を受け、聖望学園では2017年4月から、ウェブリオ株式会社(以下、ウェブリオ)が提供している教育機関向けのオンライン個別英会話サービス「Weblio英会話」の導入を検討し始めました。「Weblio英会話」は、学習目的やレベルに応じてマンツーマンのレッスンを受けられるオンライン英会話サービスで、その良質なレッスン内容から数多くの学校で採用実績を持っています。一方で、この「Weblio英会話」を導入するにあたり必要となったのが、1人1台のiPad、そして教室でレッスンを受けるための無線LAN環境の整備でした。

聖望学園中学校高等学校

埼玉県飯能市にある学校法人 聖望学園中学校高等学校は、1918年に埼玉県で最初の私立の実業学校として創立。1951年にミズーリ派ルーテル教会の支援を得て、キリスト教主義学校としてスタートした学校で、神様を敬い人を愛するキリスト教教育を教育理念に、人格を磨く教育を実践している。一方で、電子黒板やタブレット端末などを用いたICT教育、そして国際感覚を養うための英語教育やグローバル教育にも注力しており、“世界に通用する人材”の輩出に取り組んでいる。

所在地

〒357-0006 埼玉県飯能市中山292

電話

目標・課題

個人の目的やレベルに応じて学べる「Weblio英会話」

中学校の無線LAN導入時、DFS障害が課題に

複数同時かつ安定したリアルタイム通信が行える無線LAN環境が必要

個人のレベルに応じて学べる「Weblio英会話」

「Weblio英会話」では、右上の外国人講師の顔を見て
意思疎通しながらマンツーマンでオンライン英会話のレッスンを受けられる

「Weblio英会話」の特徴は、iPadを使ってマンツーマンでオンライン英会話のレッスンを受けられる点にあります。画面左側にはテキスト、右上には外国人講師の顔、右下にはチャット欄が表示されており、インタラクティブかつリアルタイムに意思疎通を図りながら、より実践的な英語を学ぶことが可能です。

また、同じ教室内にいながら、個人の実力に応じた英会話レッスンを受けられるのも大きな強みです。通常の授業では、教師1人が多数の生徒を教えなければならないため、どうしても個人の能力によって理解度にばらつきが生じてしまいがちです。しかし「Weblio英会話」なら、各自のiPadから外国人講師とマンツーマンで英会話レッスンを受けることが可能で、生徒はイヤフォンやヘッドセットを装着して、同じ教室内でも自分のレベルに合わせて学べるのです。

中学校の無線LAN導入で課題となったDFS障害

「中学校に無線LAN環境を導入した際、
大きな問題となったのが通信障害だった」と永澤教諭

「Weblio英会話」は、個人の目的やレベルに応じて最適な英会話レッスンを受けられるサービスですが、一方で映像と音声、テキストの双方向通信をリアルタイムに行うため、途切れずに安定して使える通信環境が求められます。また、1クラス約40人の生徒が同時に利用することから、安定性に加えて複数端末の同時接続に対応した、高い性能を持つ無線LAN環境が必要不可欠です。しかも聖望学園は、「DFS(Dynamic Frequency Selection:動的周波数選択)障害」の発生エリアであることが大きな課題でした。DFSとは、無線LANアクセスポイントが気象・航空レーダーなどの電波を検知した際、干渉を防ぐために周波数を変更しなければならないという、電波法で搭載が義務付けられた機能のことです。しかし、周波数変更を行うには60秒間にわたり、変更先の周波数が使われていないかを監視する必要があり、その間は無線通信が途切れてしまうことから、DFS障害と呼ばれています。

聖望学園中学校高等学校の永澤教諭は、「中学校に無線LAN環境を導入した際、大きな問題となったのが通信障害でした。導入当初、なぜか時々無線通信が途切れてしまうことがあったのですが、中学校・高校では45分という限られた授業時間の中で、カリキュラムをこなしていく必要があります。しかし、この間に通信障害が発生すると、授業に大幅な後れが出てしまうのです。そこで原因を追及していった結果、辿り着いたのがDFS障害でした。」と語ります。

実際、聖望学園の周辺には、航空自衛隊入間基地、陸上自衛隊朝霞駐屯地、航空自衛隊および米軍の横田基地、米軍所沢通信基地などがあり、航空レーダーの影響を強く受ける場所だったのです。

解決策

商品選びの決め手は、同時接続数やDFS障害回避機能

コストよりも通信の安定性を最優先に考え、各教室に無線LANアクセスポイントを設置

導入商品

11ac/n/a & 11n/g/b同時使用
法人様向け
無線LANアクセスポイント

ネットワーク管理ソフトウェア

同時接続数やDFS障害回避機能などが決め手に

聖望学園では、高校1年生の各教室に無線LANアクセスポイントを設置するにあたり、「無線LANアクセスポイント1台で最低40台以上のiPadを同時に接続できること」、「同時接続時も安定した通信が行えること」、そして「DFS障害を回避できること」という条件を満たすことを商品選定の基準にしました。そこで注目したのが、2.4GHz/5GHz(W52/W53用)/5GHz(W56用)という3つのアンテナを備えるトライバンド仕様で多台数同時接続時での高速通信を実現した、ICT化が進む学校に最適なバッファローの法人向け無線LANアクセスポイント「WAPM-2133TR」です。

永澤教諭は、商品の選定理由について「中学校に無線LAN環境を導入した際、DFS障害を解消してくれたのが『WAPM-2133TR』の『DFS障害回避機能』でした。『WAPM-2133TR』を試験採用した途端、これまで悩まされてきた通信障害が嘘のようになくなったのには驚きましたね。この実績は、他社商品にない大きな強みです。また、もともと高校棟の職員室でいくつかのバッファロー商品を使用しており、教職員内で信頼と安心のブランドとして認識されていたことや、設定が簡単に行えることなどもポイントでした。」と語ります。

「WAPM-2133TR」には、DFSによる無線LAN停止を回避するため、レーダー監視専用のアンテナが搭載されています。これを用いた「DFS障害回避機能」では、干渉しない周波数を常に監視・把握。レーダー波を検知した際も、瞬時に干渉しない周波数へと自動で切り替えるため、DFS障害を防げるのです。

通信の安定性を最優先に考えて各教室に設置

無線LANアクセスポイントの設置場所に関しても、通信の安定性を最優先に考えたそうです。永澤教諭は、「『WAPM-2133TR』は1台で384台ものタブレットが同時接続できる仕様のため、廊下に設置して複数クラスをカバーするという方法もありました。しかし、コストよりも途切れず安定した通信を優先し、1年生12クラスの各教室に1台ずつ、『WAPM-2133TR』を設置する方法を選んだのです。」と語ります。

さらに、多数のタブレットで同時に動画再生しても再生の遅延が生じにくく、タブレットを使った授業がスムーズに進められる「公平通信制御機能」や、無線LAN以外の機器から出るノイズを自動で検知・回避する「干渉波自動回避機能」なども、教育現場においては最適な機能となっています。

そのほか、職員室から校内の無線LANネットワークを一括管理できるよう、ネットワーク管理ソフトウェア「WLS-ADT」の導入も決定しました。

高校1年の全教室に設置された無線LANアクセスポイント「WAPM-2133TR」

【写真左】「Weblio英会話」のレッスンを受ける生徒たち / 【写真右】個人のレベルに応じて、マンツーマンで英会話レッスンを受けられる

効果

オンライン英会話レッスンを快適に受けられる無線LAN環境が実現

「マルチSSID」機能で学内におけるセキュリティにも配慮

今後のICT教育に必要不可欠な、当たり前のようにつながる無線LAN環境

「Weblio英会話」のレッスンを快適に受けられる環境が実現

教室内の生徒が一斉に英会話レッスンを受けても、
途切れず安定した無線LAN通信を実現

こうした背景から、聖望学園では高校1年生向けとして、12台の無線LANアクセスポイント「WAPM-2133TR」および、ネットワーク管理ソフトウェア 「WLS-ADT」を導入。2017年12月末に施工を行い、2018年4月から利用を開始しました。

「Weblio英会話」のようなサービスを多台数の端末で同時に利用する場合、通信のバラつきなどの点から無線LANによる運用は難しく、LTE通信など端末ごとに通信回線を持つことが一般的です。しかし、教育機関で端末ごとに通信契約手続きを行うには、多くの手間やコストがかかりますし、通信費用の保護者負担も障壁となります。また、施設の立地条件や建物構造によっては、電波強度に起因する課題も出てくるでしょう。その点、「公平通信制御機能」を搭載する「WAPM-2133TR」による無線LAN環境であれば、通信のバラつきを抑えた安定した通信を提供しつつ、個別の通信契約と比べて手間やコストを最小限に抑えられます。こうして聖望学園では、「Weblio英会話」によるマンツーマンでのオンライン英会話レッスンを、快適に受けられる無線LAN環境が整ったのです。また、学内におけるセキュリティにも配慮しており、「WAPM-2133TR」に搭載された、SSIDとパスワードを複数設定できる「マルチSSID」機能を活用。教職員用SSIDと生徒用SSIDでネットワークを分離し、セキュアな通信環境を実現しています。

この取材日に聖望学園での「Weblio英会話」利用状況を視察に訪れたウェブリオ株式会社 執行役員の梶川 勝正氏(以下、梶川氏)も、無線LAN環境下で約30名の生徒が同時に「Weblio英会話」を利用している状況に驚きをみせていました。「映像、音声、テキストを双方向でリアルタイム通信する『Weblio英会話』では、無線LAN環境での多台数で安定した同時通信の確立が難しく、学校様によっては回線速度や無線LANアクセスポイント性能の兼ね合いなどからクラス人数を半分に分けて前後半2回転で運用していらっしゃるケースも一定数ございます。 しかし『WAPM-2133TR』による無線LAN環境なら、クラス全員が同時に『Weblio英会話』を利用したとしても安定した接続を確立できることが確認できましたので、これから『Weblio英会話』の授業での利用を検討する学校様へ推奨無線LAN機器として『WAPM-2133TR』をおすすめできますね。」(梶川氏)

今後のICT教育に必要不可欠な無線LAN環境

「Weblio英会話」の利用方法としては、まず現在の高校1年生を対象に、最難関私立大および難関の国公立大合格を目指す精鋭コース「S特コース」で全員受講。これは通常の授業とは別に、1週間に1回のペースで25分間のオンライン個別英会話レッスンを受けるものです。またS特コース以外でも、希望者は中学生・高校生を問わず、同様に25分間のオンライン個別英会話レッスンを受けられます。

【写真左】「大勢の前で発声する恥ずかしさがないので、英会話に対するハードルが下がったように感じる」と語る、聖望学園中学校高等学校 教諭の田島理恵氏 / 【写真右】「iPadを用いた授業で、教育現場にも大きな変革が訪れた」と語る、聖望学園中学校高等学校 教諭の内藤淳氏

さらに聖望学園では、文部科学省が実施している「平成30年度私立大学等研究設備整備費等補助金(私立高等学校等IT教育設備整備推進事業費)」の交付を受け次第、2018年の夏から秋にかけて、高校棟の残り21教室(2年生:11クラス、3年生:10クラス)にも「WAPM-2133TR」を設置する予定だといいます。これにより、「Weblio英会話」はもちろん、iPadをフル活用したICT教育が加速するでしょう。

永澤教諭は「ICT教育によって、勉強のスタイルは大きく変わってきています。私はICT委員会という立場から、教育の現場でICTについて冗談交じりに『I・C・T(いつも・ちょっと・トラブル)』などと言っていますが、今回のようにトラブルがなく、当たり前のようにつながる無線LAN環境は、今後のICT教育にとって必要不可欠な存在と言えるでしょう。今後もICT教育を加速させる、バッファロー商品に期待しています。」と笑顔で語ってくれました。


取材後記

“世界に通用する人材”の輩出を目的に、積極的なICT教育を推進している聖望学園中学校高等学校。校内には十字架のモニュメントや礼拝堂などがあり、キリスト教主義学校らしい荘厳さが感じられました。そこで学ぶ生徒さんたちを見て印象的だったのは、表情がとても明るいこと。取材中も廊下ですれ違うたびに元気な挨拶が聞かれ、清々しい気持ちになりました。


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