耐久性、拡張性など、多彩な要件に対応するバッファロー商品を活用し、屋外含む施設内全域をカバーする公衆Wi-Fiサービスを提供

リゾラテラス天草 様

藍の村観光株式会社企画部 直江航氏(以下、直江氏)

2015年7月17日、熊本県上天草松島町においてオープンした複合観光施設リゾラテラス天草。リゾラテラス天草では来訪者に向け、インターネットによる情報収集やSNSの利用を楽しんでもらうため、バッファローの無線LANアクセスポイントを用いて、2016年2月から施設内全域をカバーする公衆Wi-Fiサービスを開始しました。今回の事例では、多様な要件に対応するバッファローの無線LANアクセスポイント商品を活用することで、低コストで信頼性の高い公衆Wi-Fiサービスを構築した例をご紹介します。

取材協力

株式会社SYSKEN

概要

新しい天草をアピールする複合観光施設

国内外から多くの来訪者を迎え、前年比1.5~1.8倍の売上増で推移

来訪者の満足度向上とSNS投稿の促進を目指し、公衆Wi-Fiサービスを導入

雲仙天草国立公園地域に構築された、南国をイメージした複合観光施設

リゾラテラス天草のお土産売り場。天草塩を使用し、
職人がひとつひとつ丁寧に焼きあげる
ベーカリーショップ「天草塩パンラボ」も併設されている

リゾラテラス天草は、雲仙天草国立公園を擁する熊本県上天草松島町において、藍の村観光株式会社が運営する複合観光施設です。南の島をイメージしたデザインの施設内には、全席オーシャンビューのレストランをはじめ、本格的なイタリアンジェラートや氷温熟成された本格コーヒーを提供するカフェスタンド、ハワイから直送した食料品や雑貨、洋服、アクセサリー商品などを取り扱うバラエティショップ、リゾラテラス天草限定のオリジナルスイーツ「黒糖ばなな」をはじめ、天草ならではのお土産や海産物を取り揃えた土産物販売店が軒を連ねています。

天草の厳選素材をつかったワンプレートランチを提供するレストラン。
全席オーシャンビューのレストランは、多くの来訪者で賑わう

直江氏は、「従来の天草観光は温泉めぐりや海鮮料理が中心で、来訪者の年齢層も比較的高い傾向にありましたが、近年はウェイクボードやジェットスキーなどのマリンスポーツが行われるようになり、若者やアクティブシニア、お子様連れで賑わうようになっています。そうした層も取り込めるよう、これまでの天草のイメージを変えるような新しいリゾートスポットとして、リゾラテラス天草は誕生しました」と説明します。

熊本県内だけでなく日本全国、海外からも多くの来訪者を迎え入れる

リゾラテラス天草は2015年7月のオープン以後、熊本県や九州圏内からの来訪者だけでなく、日本全国、さらには海外からの旅行客も多数迎え入れています。直江氏は、「当施設には、海路を通じて天草・熊本・福岡を結ぶ定期航路便である『天草宝島ライン』の乗り場もあります。陸路だけでなく海路からもアクセスもできるため、シークルーズでのイルカウォッチング後の休憩で立ち寄ってもらったり、さらに近隣の観光施設へと、海から陸路で出かける際の拠点として利用されたりすることから、多くの修学旅行生や海外からの団体観光客が訪れています」と話します。

客足の伸びも上々で、「オープン当初から予想以上の来訪者を迎え入れています。2016年4月に熊本地震の発生により交通インフラが遮断されたことで一時期、集客が行えないこともありましたが、国や自治体の観光PR活動も功を奏し、今年の夏以降、昨年比1.5~1.8倍増の売上増で推移できています」と直江氏は説明します。

施設内全域をカバーする公衆Wi-Fiサービスを導入

近年、観光地やリゾート施設において、来訪者がスマホでインターネットに接続、情報を収集したり、SNSへ撮影した写真を投稿したりすることが当たり前のように行われています。リゾラテラス天草でも、SNSへの画像投稿等による拡散は、新たな来訪者を誘う呼び水になるものとして期待を寄せています。しかし、天草諸島の前島という立地上、モバイル回線の電波強度に不安定さを感じており、SNSなどの利用を妨げる要因になりかねないと考えていました。

そこで同施設では、安定したインターネット利用環境を提供するため、熊本県が展開する公衆Wi-Fiサービス「くまもとフリーWi-Fi」の採用を決定。設備導入の相談を受けた株式会社SYSKENは、「屋外を含め、施設内全域をカバーする公衆Wi-Fiサービス」の要件を実現するために提案したのが、機能・拡張性に優れ、低コストで導入できるバッファロー商品を活用した公衆Wi-Fi設備でした。

リゾラテラス天草

雲仙天草国立公園を擁する熊本県上天草松島町において、藍の村観光株式会社が2015年7月にオープンした複合観光施設。施設内にはレストランやカフェ、お土産売り場、バー、ベーカリーなどの店舗が並び、南の島をイメージしたデザインと相まって、天草における新しい観光拠点、リゾート地として、多くの来訪者、観光客が訪れている。

所在地

〒861-6102 熊本県上天草市松島町合津字北6215-16

電話

目標・課題

施設の設計段階からWi-Fiの導入を計画

SNSへの画像投稿は観光地にとって絶好のPR策

予算内で施設内全域をカバーするWi-Fi環境の整備に着手

休憩中に、撮影した画像をSNSにアップしたいと望む来訪者が増加

「公衆Wi-Fiサービスの提供は、リゾラテラス天草の設計段階から検討していました」と、直江氏は言います。藍の村観光では、リゾラテラス天草のほか、上天草温泉郷で物産館『藍のあまくさ村』を運営しています。そこで多くの来訪者から「スマホで撮影した写真をSNSですぐにアップしたいので、Wi-Fiを使えるようにしてほしい」という要望が寄せられ、Wi-Fi環境を整備した、という経験があったのです。

「天草地域を訪れる方々は、観光を楽しんだ後に藍のあまくさ村に立ち寄り、カフェスペース等で休憩することが少なくありません。そこで、撮影した写真をSNSに投稿しようとするのですが、大量の画像データをモバイル回線などでアップしようとすると時間がかかるほか、通信事業者の容量制限がかかり、時にはアップできなかったりすることもありました。そうしたことから、多くの来訪者からWi-Fiの導入が求められていたのです」(直江氏)。

「また、海外旅行客の増加に伴い「地域の情報をネットで調べたいが、Wi-Fiはないのか」といった問合せも数多く寄せられていたそうです。このような経験から、直江氏は、「リゾラテラス天草においてもWi-Fi導入は不可欠」と考えていたといいます。

SNSへの画像投稿が、さらなる来訪者増の呼び水に

直江氏がWi-Fi環境の整備が不可欠と考えたもう1つ理由には、「SNSへの画像投稿は、観光地やレジャー施設にとって絶好のPR手段」と捉えていたことがありました。

「近年ではFacebookやTwitterだけでなく、写真共有SNSであるInstagramの利用者も急増しています。SNSは、今や一番の広告媒体でもあり、魅力的な写真が数多くSNSに投稿されることで、国内のみならず、海外からも新しい観光客を呼び寄せる“呼び水”になると考えていました。そのためにも、高品質で安定したWi-Fi環境を提供することが不可欠だったのです」(直江氏)

施設内全域をカバーするWi-Fi環境の整備に着手

(※)

Wi-Fi環境を整備するにあたり、直江氏が相談を持ち掛けたのが、藍のあまくさ村をはじめ、リゾラテラス天草におけるネットワークシステムの構築や保守等を手掛けてきた株式会社SYSKENでした。今回の案件を担当したSYSKEN ホームソリューション推進部の清田雅紀氏は、「当初、リゾラテラス天草様からは『施設の一部でWi-Fiサービスを提供できるようにしたい』との相談が寄せられていましたが、せっかく環境を整えるなら、施設内全域をカバーしましょうと、こちらから再提案を持ちかけました。もちろん、当初の予算内で収められるようにすることが大前提であり、そこでベストとなるような提案を心掛けました」と話します。そして、複数の商品を検討した結果、SYSKENが選択したのが、バッファローのWi-Fi商品でした。

天草五橋の1つ「前島橋」を望めるテラス。建物内だけでなく、テラスや広場でもWi-Fiを利用できるようにするには、海からの潮風にも耐えうる筐体を有した無線LANアクセスポイントが必要とされた

解決策

ゲートウェイ機能により無線LANアクセスポイントが増設できる「FS-600DHP」を選択

同時多数アクセスでも途切れないWi-Fiアクセスを実現する「WAPM-1166D」を採用

潮風のあたる海辺でも安定稼働を実現する「WAPS-300WDP」

導入商品

エアステーション プロ
11ac/11n/a&11n/g/b切替使用
インテリジェントモデル
無線LANアクセスポイント

エアステーション プロ
11n/g/b対応
防塵・防水 対環境性能
無線LANアクセスポイント

フリースポット導入キット

レイヤー2 Giga PoE
スマートスイッチ

PoEインジェクター
1CHモデル

ゲートウェイ機能を活用し、施設内全域にWi-Fi環境を整備

SYKENによる提案の主軸となったのが、FREESPOT導入キット「FS-600DHP」、および、法人向け無線LANアクセスポイントの「WAPM-1166D」「WAPS-300WDP」です。

「FS-600DHP」が採用された理由には、低価格で導入できることに加えて、他のWi-Fiアクセスポイントやスイッチと組合せることで、より大規模なWi-Fi環境を構築可能な「ゲートウェイ機能」を搭載していたことにあります。このゲートウェイ機能を活用し、エリア拡張用の無線LANアクセスポイントを接続。建物内をカバーする無線LANアクセスポイントとして、高速無線通信規格であるIEEE802.11acに対応した「WAPM-1166D」が5台導入されました。

清田氏は、「直江様から寄せられた要件は、100名近い団体客が来訪して一斉にアクセスしても、一人として“繋がらない”という事態を起こさないようにすることでした。そうしたことから、施設内の無線LANアクセスポイントには、小型で設置場所を選ばない『WAPM-1166D』を選択し、施設各所に設置しました」と説明します。

カフェのバックスペースの収納ボックスに設置された「FS-600DHP」。コンパクトな筐体により、限られたスペースにおいても設置が可能だ

潮風のあたる海辺でも安定稼働を実現する耐環境性能を持つ「WAPS-300WDP」

そして、無線LANアクセスポイント「WAPS-300WDP」が採用されたのは、潮風があたる海辺の広場にも設置可能な、防水、防塵、耐腐食に優れた耐環境性能が評価されたことが大きな理由です。

「当初は、屋外に設置する無線LANアクセスポイントは、潮風にさらされても腐蝕しないよう、収納ボックス内に設置することを考えていましたが、タイミングよく『WAPS-300WDP』が新商品としてリリースされたのです。屋外に設置可能な無線LANアクセスポイントは高額な商品がほとんどですが、『WAPS-300WDP』は機能とコストのバランスに優れており、即座に採用を決定しました」と、清田氏は振り返ります。

「当社は複数のベンダーの商品を取り扱っていますが、常に、お客様の要望に最も合致するベストな商品の提案を心掛けています。今回、導入コストを抑制しながらもリゾラテラス天草様の要望を十分に満たす機能を有した商品として、バッファローの無線LANアクセスポイントを提案に採用しました」(清田氏)

海辺に面した広場には、防水、防塵、耐腐食に優れた耐環境性能を持つ無線LANアクセスポイントの「WAPS-300WDP」が設置された

周到な事前準備に加え、積み上げてきたノウハウが活かされ、わずか一日で工事が完了

今回のWi-Fi環境の整備にあたっては、綿密な電波環境調査をはじめとする周到な事前準備も奏功し、わずか1日という短期間で設置工事が完了しています。

「朝のショップ開店時間前から無線LANアクセスポイント作業を開始。営業時間中は、お客様の目には触れないバックスペースでの配線作業を行い、営業終了後にはレストランに設置する作業を行いました。結果、リゾラテラス天草様の営業をとめることなくWi-Fi環境を整備することができました。Wi-Fi環境の構築で多くの実績を積み上げてきた、当社のノウハウを活かすことができたと自負しています」(清田氏)。

このほか施設内の美観も考慮し、無線LANアクセスポイントを目立たないところに設置するよう心掛けたほか、ケーブルの配線も地下配線が行われました。清田氏は、「地下配線を行う際に、海からの塩水が浸水することも考慮し、耐候性のLANケーブルを採用しました。事前にケーブルの浸水試験も実施するなど、今回のプロジェクトでは部材に至るまで、運用開始後の障害を可能な限り回避できるよう、万全の体制で臨みました」と説明します。

施設内全域をカバーするWi-Fiサービスを提供できるよう、無線LANアクセスポイント設置されている(土産物売り場、ショップ・カフェ、レストラン)

リゾラテラス天草公衆Wi-Fiサービス ネットワーク構成図

効果

100名近い団体客の一斉利用でも、快適なWi-Fi通信を実現

Wi-Fi環境の整備によってSNSへの画像投稿も増加

耐久性に優れた無線LANアクセスポイントは、安定したサービス提供に不可欠

公衆Wi-Fiサービス開始以後、SNS等を楽しむ観光客の姿が数多く見受けられるように

「くまもとフリーWi-Fi」にアクセスすることで、誰でも無料で
公衆Wi-Fiサービスを利用可能となっている。なお、SYSKENの
サポートにより、2か国語対応から5か国語対応へと拡張されており、
様々な国から訪れる海外旅行客に対する利便性も高められている

2016年2月から本番運用が開始されたリゾラテラス天草の公衆Wi-Fiサービスは、順調に稼働を続けており、多くの来訪者から喜びの声が聞かれているといいます。直江氏は、「修学旅行などの団体客をレストランに迎えた時など、皆、食事をする前に写真を撮影して一斉にSNSに投稿している様子を頻繁に見かけるようになりました。特に都市圏からくる生徒たちは、Wi-Fiの利用に慣れており、『ここはWi-Fi通信が使えるんですよね?』と聞かれることも少なくありません。通信事業者の通信容量制限があるためか『モバイル通信はなるべく使いたくない』、『Wi-Fiがあるなら観光中に撮影した写真を一度にアップしてしまいたい』、という要望は大きかったようで、とても喜ばれています」と話します。なお、当初から要件に掲げていたように、100名近い人数が一度にアクセスしても、途切れることのない安定したWi-Fi通信ができているといいます。

Wi-Fi環境の整備後、SNSへの投稿も増加

Wi-Fi環境の整備により、SNSへの投稿も増加していると直江氏。実際、TwitterやInstagramで「リゾラテラス天草」「L'isola Terrace Amakusa」などのキーワードで検索を行うと、観光や食事を楽しむ利用者のコメントや画像の投稿が数多く表示されるようになっています。「具体的な来訪者に関する調査については今後の課題ですが、そうしたSNSでの評判の広がりが来訪者増に確実に繋がっていると考えています」と直江氏は話します。

現在、リゾラテラス天草のWebサイトのリニューアルを進めており、今後は来訪者がリゾラテラス天草に訪れて、Webサイトにアクセスした際にクーポン券をダウンロードできるようにする、といったサービスの提供も検討中といいます。その際にもWi-Fi環境がさらに有効活用されるようになるのでは、と直江氏は期待を寄せています。

信頼性の高い商品と親密なサポートが、公衆Wi-Fiサービスの安定運営には不可欠

直江氏をサポートし、リゾラテラス天草の公衆Wi-Fiサービスの実現を
サポートした株式会社SYSKENホームソリューション推進部の
清田雅紀氏(右)と石橋智美氏(左)

SYSKENとバッファローの協力によって、全施設内をカバーする公衆Wi-Fiサービスの提供を実現できたリゾラテラス天草。今回のプロジェクトを振り返り直江氏は、「SYKENは工事を一日で終わらせてくれるなど、営業を止めることなくWi-Fi環境を設置してくれたことに対して、とても感謝しています。また、熊本地震の発生後もすぐに駆けつけてくれるなど、アフターフォローも万全で、安心して公衆Wi-Fiサービスを運営できています」と話します。

そして、今回無線LANアクセスポイント商品を提供したバッファローについても、次のように評価しています。「バッファロー商品は導入以後、不具合が発生することもなく安定して稼働を続けています。広場に設置した無線LANアクセスポイントについても、当初は耐久性を心配していましたが、設置してから現在に至るまで、日々の潮風にさらされているだけでなく、台風が襲来しても故障を起こしていません。安心して利用できるバッファローの商品は、リゾラテラス天草の公衆Wi-Fiサービスを支える重要なインフラとなっています」(直江氏)


取材後記

取材中、「今回の公衆Wi-Fiサービスの導入により快適なWi-Fi通信が可能になったことで、お客様だけでなくリゾラテラス天草のスタッフもとても喜んでいます」と直江氏は話してくれました。「スタッフであってもWi-Fiの利用に制限は設けていません。自ら使用すれば、接続方法が分からずに困っている来訪者に説明もできるようになりますし、新たな使い方を自ら発見すれば、それを来訪者にも提案できるようになると期待しているからです」とは直江氏の談。スタッフであっても自由にWi-Fiを利用できる環境を通じてこそ、さらに魅力溢れる新しいサービスが生まれてくるのかもしれません。


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