Wi-Fiがつながる通信規格
Wi-Fi(無線通信)で使われる通信には、通信速度やつながりやすさなど、特性が異なる規格があります。
ここでは、通信規格とその違いをわかりやすく紹介いたします。
通信規格とは
通信規格とは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers、日本語では米国電気電子学会。読み方はアイ・トリプル・イー)という学会が定めた、異なる通信機器同士が共通の手順で通信できるようにするための決まりごとです。規格の正式名称は、「IEEE 802.11〇(〇にはアルファベットが入ります)」といいますが、IEEE802を除いて「11+アルファベット」というように、省略して通称を使うことも多くあります。「11ax」や「11ac」といった通称は、皆さんも耳にされたことがあるかもしれません。
近年は、これに加え、「Wi-Fi Alliance」という業界団体の主導により、通信規格の新旧をよりわかりやすくするため、Wi-Fi規格を世代を示す続き番号によって表記する動きが出てきました。これにより、6番目のWi-Fi規格「11ax(IEEE 802.11ax)」は「Wi-Fi 6」、1つ前の「11ac」は「Wi-Fi 5」、2つ前の「11n」は「Wi-Fi 4」と呼ぶことになりました。第3世代以前のWi-Fi規格には、新名称はありません。これにより、多くのユーザーがWi-Fi規格をよりよく認識しやすくなることが期待されています。
歴代のWi-Fi規格
世代 | 新名称 | 規格名 | 最大通信速度 | 周波数 |
---|---|---|---|---|
第6世代 (2019年) |
Wi-Fi 6 | IEEE 802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz帯/5GHz帯 |
第5世代 (2013年) |
Wi-Fi 5 | IEEE 802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz帯 |
第4世代 (2009年) |
Wi-Fi 4 | IEEE 802.11n | 600Mbps | 2.4GHz帯/5GHz帯 |
第3世代 (2003年) |
- | IEEE 802.11g | 54Mbps | 2.4GHz帯 |
第2世代 (1999年) |
- | IEEE 802.11a | 54Mbps | 5GHz帯 |
- | IEEE 802.11b | 11Mbps | 2.4GHz帯 | |
第1世代 (1997年) |
- | IEEE 802.11 | 2Mbps | 2.4GHz帯 |
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周波数について
Wi-Fiに使われる通信規格は、5GHz帯と2.4GHz帯の2つの周波数 の帯域に分けられます。5GHz帯には「11ac」と「11a」、2.4GHz帯 には「11g」「11b」の4つの規格と、両方の周波数帯で使える「11ax」「11n」があります。
Wi-Fiの通信では、おもにこの6つの通信規格 が利用され、規格ごとにそれぞれ特性が異なります。
「5GHz帯」電波干渉が少なく、安定した高速通信
5GHz帯は、対応機器が少ないため電波干渉が少なく安定した通 信が可能です。また、通信速度が速いので、動画の再生や大きいファイルの転送も快適です。しかし、障害物に弱いため、壁や家具などで電波が遮られると2.4GHz帯に比べて、つながりにくい場合があります。
「2.4GHz帯」障害物に強く対応機種が多い
2.4GHz帯は、対応機器が多いため、ほとんどのWi-Fi機器を接続できます。また、障害物に強いので、壁や扉越しでも電波が届きやすく、Wi-Fiが途切れません。しかし、同じ周波数帯を使用する機器が多いため、5GHz帯に比べて、速度が遅くなる場合があります。
つながる規格とつながらない規格
5GHz帯のWi-Fi規格「11ax、11ac、11n/a、11a」と、2.4GHz帯のWi-Fi規格「11ax、11n/g、11g、11b」は通信の互換性がありません。また、同じ周波数帯同士のWi-Fi規格は互換性がありますが、通信速度は遅い方のWi-Fi規格での通信となります。
たとえば、Wi-Fiルーターが「11ac、11n/a」対応でも子機が「11n/a」対応の場合は通信速度の遅い「11n/a」での通信となります。11ax/ac/n/a&11ax/n/g同時接続に対応したWi-FiルーターならすべてのWi-Fi機器が同時に接続できます。
<対応規格例>
Wi-Fiルーター | Wi-Fi子機 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
11ax(2×2) 160MHz |
11ac(2×2) 80MHz |
11ac(1×1) 80MHz |
11n/a(1×1) 40MHz |
11n/g(1×1) 40MHz |
||
5GHz | 11ax(2×2) 160MHz |
2402Mbps(※1) | 866Mbps | 433Mbps | 150Mbps | x |
11ac(2×2) 80MHz |
866Mbps | 866Mbps | 433Mbps | 150Mbps | x | |
11n/a(2×2) 40MHz |
300Mbps | 300Mbps | 150Mbps | 150Mbps | x | |
2.4GHz | 11ax(2×2) 40MHz |
573Mbps | x | x | x | 150Mbps |
11n/g(2×2) 40MHz |
300Mbps | x | x | x | 150Mbps | |
主な対応機器 | 最新スマートフォン、最新パソコン |
スマートフォン、パソコン |
スマートフォン、旧型パソコン |
旧型スマートフォン、旧型パソコン |
旧型スマートフォン、旧型パソコン |
通信規格を支える高速化技術
通信規格の高速化を実現した技術の一部をご紹介します。
OFDMA
従来のOFDM技術の場合、一定時間ごとに全ての周波数の通信を特定の端末との通信に割当てしていたため、複数の端末と通信する場合は、端末に待ち時間が発生していました。OFDMA技術では、周波数ごとで通信を特定の端末に割当てることができるようになったため、同時に複数の端末と通信でき、端末に待ち時間が発生しなくなりました。
MIMO技術
複数のアンテナを使用し、複数のデー タ通信経路(ストリーム)で同時に通信 を行うので一度に多くのデータを転送 できます。
通常ノイズになりやすく速度低下につながる、壁や家具などに反射する電波 「マルチパス」を有効信号として活用して通信のロスを減らします。
倍速モード(チャンネルボンディング)
複数の無線チャンネルを同時に利用することで帯域幅を増やし、複数のストリームによる同時通信を行うことで通信速度を向上します。
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