#129 ミュージシャン MIC.B A.K.A 73PIKE SET

MacBookの内蔵HDDを換装 レコーディングの速度がアップし自分流の音をたくさん取り込める

第129回目の@Professional UsersはミュージシャンのMIC.B A.K.A 73PIKE SET(マイクビー・セブンティースリーパイクセット)さん。LAVAプロデュース店舗でもDJで参加し、自身も積極的に音源のリリース、ライブで国内外を駆け巡るダンスミュージック・エンターテーナー。サンプラー(MPC)とシンセサイザー(mini moog)を駆使し、彼でしか生み出せないであろう音で多くのミュージックラバーズを虜にしている。そんなマイクさんが次作のアルバム制作のためにバッファローの内蔵ハードディスク、HD-INSを導入したとのこと。早速LAVAがマイクさんが経営する東京・代官山の飲食店、"LODGE"を訪れお話を伺いました。

プロクリエイターが選んだ商品

2.5インチ Serial ATA用 内蔵HDD

Creator's Profile

MIC.B A.K.A 73PIKE SET
(マイクビー・セブンティースリーパイクセット)

AKAI社製のサンプラーMPCとminimoogを使って演奏するパフォーマンスで国内外を飛び廻っている、日本を代表するダンス・ミュージック・エンターテーナー。「全ての音は音楽になる。」をテーマに2010年に大分の小学校でサンプラーを使った音楽講師を務める。そして現在はクラブでの活動以外に、サンプラーのワークショップを開催。2012年に台湾ライブを成功させる。現在はmoog社のアナログシンセサイザー”minimoog”一台で2nd ALBUMを制作中。その手法は世界でもまれにみる技法である。

現在は東京渋谷を拠点に活動中。

これまでのリリースは、ASAYAKE RECORDS(SOUL CLAP EP”12″) ・Peanuts Production(チカテツキロク”7″) (Star Bird”1st ALBUM”) ・addidas(Yokohama opning “mixCD”) ・incense records(Good Morning!~Bossa Nova Mix”mixCD”) またCM制作ではINAX(上海万博出展の世界一トイレ・REGIO・国際福祉機器展・LIXIL京都ショールーム ・ECOCARAT)・リンガーハットを手がける。レギュラー出演イベントはmodule(音ノ源)・渋谷ヒカリエ”Flowers Common”(BALL ROOM)

Interview

小学校時代、卒業生のカバーバンドが演奏したビートルズの曲を聴いたことが自分の音楽の原点

——マイクがミュージシャンになっていった経緯を教えてください。

小学校時代、学校に卒業生達が演奏に来たんです。体育館でコンサートをしてくれました。僕は初めて生演奏というものを聴いたんですが、正直ぶっ飛びました。曲はビートルズのカバーで、どちらかと言うと優しい音楽でしたが(笑)、演奏後みんなが教室に戻る中、ひとり体育館で立ちすくんでしまうほどでした。衝撃的でしたね。

——ビートルズかあ。ヒップホップの影響はどのあたりからだったの?

中学生時代に流行ったのがMCハマー、イーストエンド+ユリ、後はスチャダラパーでした。このあたりの影響は大きかったですね。そこからラップに興味を持ち出します。でも実はやりたかったのはDJで、スクラッチをしてみたかったんです。でもDJ用のターンテーブルは高額で、手軽に始められるものではなかったんですよね。それでラップを始めたというのもあるんです。僕は山形県出身で、実家にはオーディオ用のターンテーブルがありました。近所には演歌系のレコード店しかなかったので、リサイクルショップに行ってレコードを買ってきてはひたすらスクラッチの練習をするんですが、さすがにDJ専用のターンテーブルではないので針が壊れて、色々とおかしくなっていきました(笑)。そしてとうとう壊れたので、フリーマーケットでナショナルのポータブルレコードプレーヤーを購入しました。それはピットコントローラーまでついていた優れものでした。時間を見つけてはCDラジカセでCDをプレーして、それにテンポを合わせてポータブルレコードプレーヤーでレコードをかける練習をしていました。高校生時代はずっとそんな感じでしたね。

——バンドを組んだりはしなかったの?

しなかったんですよね。でも同級生にギターをやっているお金持ちの息子がいて、彼が僕が音楽を好きなのを知っていて、YAMAHAのカセットMTRとBOSSのリズムマシーンを貸してくれたんです。よし、HIP-HOPを作ろう!としましたが説明書がなかったので全く作れませんでした(笑)。そんな時に同級生のお兄ちゃんがDJ をやっていて、遂に引退するというので彼から機材を買おうと企みました。

——そのお兄ちゃんは山形では有名なDJだったの?

いえ、家でしかプレイしないDJです(笑)。

——(笑)それで?

夏休みにアルバイトをしてお金を貯めて、ターンテーブル2台とDJミキサーを彼から買いました。

——やったね。

はい。やはりそうなってくるとパーティーをしたくなってくるので、自分で企画してクラブパーティーを開始しました。

——どういった場所でやるの?

スナックです(笑)。クラブはないんですよ、残念ながら。DJ機材は自転車で3往復して搬入しました(笑)。でもそこで学んだのが今でもテーマになっている「ないからこそ自分で作る」です。

ファーストアルバムはいい評価をいただいて「渋谷のOL殺し」という肩書きもいただきました(笑)

——なるほど。上京したのはいつ?

高校を卒業してからです。やはり音楽がやりたかったのと、自分が憧れるミュージシャンはみんな東京に集まっていたので。川口にある友達の所に居候してまずは原宿に直行です。原宿は修学旅行の時に1回訪れていて、HIP-HOPの香りのする街という印象が強くあったんです。そこに行けばHIP-HOPの世界に近づけるのではないか?と思ったんです。それで結局外国人が経営する原宿の洋服屋さんで働きだしました。そこでラッパーやミュージシャンに会えたりと、一気にネットワークが広がりました。”怪人CREW”というラップチームに参加して、六本木にあるクワイルというクラブでデビューしました。ちょうど18歳の頃ですね。

——マイクも色々をやったんだね。そこからはどっぷり音楽の道へと進んだの?

いえ、その頃親が交通事故にあってしまい、1年間山形に戻ったんです。でも実はこの経験が大きくて、山形に一度戻ることで東京を客観的に見ることが出来たんです。東京は最新の音楽を常に追いかけている街。でも自分が好きな音楽は95年前後のHIP-HOP。またあらためてこの地で高校時代の友人達とルーツに戻ろうと思い、山形でパーティーを再スタートさせました。でもやっているうちにスピードや温度差の違いを感じてしまったんです。僕としては山形で活動するのであれば、山形発信のHIP-HOPを作るべきだと思っていました。でもその仲間が結局集まらず、実家も落ち着いてきたのでそこでまた東京に戻りました。

——なるほどね。一度東京に出ているからこそ感じたジレンマだね。僕は東京出身東京育ちなのでマイクの言う全てが理解は出来ないけど、温度差というキーワードはズシッと来るものがあるね。それは都市や地方というだけではなく、夢を追いかける上での個人のモチベーションの問題でもあるからね。そしてその後は?

渋谷の楽器店で働きだしました。「えちごやミュージック」というビンテージのシンセサイザーとDJ機器を取り扱う楽器店でした。

——まさにマイクのためにあるような楽器店だね。

そうなんですよ!そこで出会った人脈をきっかけに、渋谷にあるオルガンバーというクラブでやっていた「朝焼け番長」というイベントを知ります。そこでDJやミュージシャンとしての活動を開始し、平行してMPC 2000XLというサンプラーを購入しました。その機材を駆使して26歳でオリジナル曲の12インチレコードでデビューしました。でも不運なことにちょうどその頃から時代の影響でレコード店の閉店ラッシュが始まりました。音楽界もアッパーな曲で、なんか無理矢理売れそうな音楽を作ろうという意識が増えていく中、自分はスローでチルアウトな曲を作ろうと思い、「チカテツキロク」という7インチレコードを自主レーベルから出します。その2年後にファーストアルバム "Star Bird"をリリースしました。コンセプトは「南の島でチークタイム」。リスナーからの評判はとても高く、「渋谷のOL殺し」という肩書きもいただきました(笑)。

——フォーキーで心地の良い、とてもいいアルバムだよね。マイクが経営している飲食店、代官山LODGEについて話してください。

アルバムリリース後に始めたんですが、今までクラブイベント等、パーティーをさんざんやってきて気付いたのが、パーティーの真骨頂はホームパーティーである!ということです。それでこのお店は故民家風で決して広い店舗ではないですが、僕が思うホームパーティーをやるにはベストの環境だと思い、ここを自身で借りて「代官山LODGE」を始めました。現在1年が経ちましたが、かなりユニークで天才な方々が毎夜集まってきています。

僕はたったひとつの制作方法で曲を作っています
「ないものから生まれてくる音」というスタイルです

——マイクが曲を作っていくプロセスを教えてください。

ミュージシャンである限り、多くの楽器と多くのミュージシャン仲間とで曲を作ることが可能ですが、僕はたったひとつの制作方法で曲を作ることに決めたんです。それは1972年にアメリカで生まれた"mini moog"というシンセサイザーを使い、それのみを駆使しドラム、ベース、コード(和音)、ストリングスを作り出します。その作った音をMPC(サンプラー)に移行させ曲にしていきます。mini moogが絵の具で、MPCがキャンパスといった感じですかね。このクリエイティブ方法により、自分でしか作れないオリジナル感あふれる音楽を生み出していきます。でもなんでそうやって作っているかにも理由があって、3.11の大震災後、食べ物を手に入れるのが困難な時があったんですが、家にある食材を使ってなんとかご飯を作っていました。この時に自身の人間力を感じたんです。同時に「なくても出来るんだぞ!」という感覚も。最初に話しましたが山形時代にテーマにしていた、「ないからこそ自分で作る」に戻ったんですね。それが今のmini moogを使って音楽を作るというスタイルにたどり着かせてくれました。オリジナルの音、自分自身の音は「ないものから生まれてくる音」と言えます。これは日本にいたからこそ経験出来たことなので、これからはその感覚を音楽に変えて世界に発信していけたらと思います。

——とても興味深い話だと同時に、我々が果たしていかなければいけない大切なものに触れた気がします。どうもありがとう。さて、パソコンの話をしましょう。DJでは完全なるアナログ指向だけど、制作はパソコンを使うよね?

はい。使用しているのはMacBookで、主にこれはレコーディングツールです。ソフトはProtoolsを使っています。次回のアルバム制作を考えてMacBookの内蔵のハードディスクを以前の500GB からバッファローの内蔵ハードディスク、HD-INSに変えました。容量が1TBになったので余裕を持ってレコーディングに入れますし、僕のさらなる上を目指すクリエイティブの制作を可能にしてくれています。それと現在自分が使用しているMacのOSが10.58なんですが、この内蔵ハードディスクは10.4から使用可能なんです。古いOSにも対応してくれているのも選んだ理由のひとつです。僕の制作過程は先ほども話したように、まずmini moogで音を作り、その音をMPCに入れ、MPCに入れた音源を最終的にProtoolsに取り込んでいきます。当然扱うのがMP3のような軽いデータではなく、wavのオーディオ音源なので、ひとつひとつの音の容量も大きいのです。なのでこのバッファローの内蔵ハードディスク、HD-INSに変えたことでより多くのMIC流の「音」を取り込むことが出来るようになりましたし、当然レコーディング自体のスピードも早くなりました。パソコン自体の動作も良くなりましたし、全体的にはパソコンの環境全てがぐっと良くなったと言えます。mini moogで音を作る作業はとても手間がかかり、時間もかかります。でも僕にとっては大切な音の数々であり、僕のオリジナルと呼べるものです。それが余裕を持ってこのハードディスクに録音されていくわけですから、このハードディスクは大切なMIC.Bのクリエイティブの心臓部分と言えますよね。この全てをふまえ、楽しみに新作に取りかかってこうと思います。みなさん、完成をどうぞ楽しみにしていてくださいね。

——僕も制作専門で使っているパソコンの内蔵ハードディスクはバッファローのものだけど、変えた瞬間色々な環境が良くなったんだよね。速度も間違いなく上がったし。マイクの新作も本当に楽しみにしています。では最後にマイクのようなミュージシャンになりたいという人達にメッセージをお願いします。

諦めずに続けることが重要です。その努力は必ず報われます。報われた方は僕の代官山LODGEへ是非お越しください。乾杯しましょう(笑)。

——今日はどうもありがとうございました。

Interview Photos

ファーストアルバム "Star Bird"

マイクさんが経営している飲食店、代官山LODGE

マイクさんが新作制作をスタートさせるために導入したバッファローの内蔵ハードディスク、HD-INSです。容量だけでなくパソコン自体の動作も向上し、環境の全てがぐっと良くなったと言います。マイクさんのクリエイティブの心臓部分というこのハードディスクの活躍で、最高傑作のアルバムが誕生することを待っています。

マイクさんとはあるギタリストを介して知り合い、僕のサウンドプロデュース店舗でのライブやDJにも積極的に参加してくれるようになりました。インタビューを読んでも分かると思いますが、彼の実直さが音楽活動にそのまま現れているタイプのアーティスト。仲間も多く、独自の"MIC WORLD"を築き上げています。「音楽が大好きだからこそ、音楽が大好きな人にもっと良質な音楽を届けたい。」その気持ちが多くの人に伝わるようこれからも活動していって欲しいですね。ずっと応援しています。

Creator's Favorite Foods

MIC.B A.K.A 73PIKE SETの好きな料理“この一品!”「Cafe&Bar Rのポークジンジャー」

MIC.B A.K.A 73PIKE SETさん曰く、「渋谷にある友人がやっているお店、 Cafe&Bar R。僕は大常連ですが、Wi-Fiも飛んでいるので仕事もしてしまいます。これはランチで出しているポークジンジャー。本当に美味しいですよ。店内もお洒落でいい感じです。渋谷に来た際には是非訪れてみてくださいね。」

今回登場した商品

2.5インチ Serial ATA用 内蔵HDD

SATA接続のノートパソコン向け2.5インチタイプの内蔵用ハードディスク。SATAインターフェースを搭載したパソコンの交換または増設用ハードディスクとしてお使いいただけます。今お使いのパソコンのハードディスクを交換する際に便利な、引っ越しソフトウェアを添付。パソコンの容量不足の解消のためハードディスクを交換したいものの、環境移行の方法がよく分からない、といった方にもお奨めです。パソコンを快適にお使いいただける当社独自の高速化ソフトウェア「バッファローツールズ」も添付しています。