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大切なのはコミュニケーションだった
「AirStation のファームウェア開発を担当して4年経ちますが、日々、目からウロコの連続。ひとつのチームとしてまとめ、優れたファームウェアを開発するために、必要不可欠な方法論がたくさん見えてきました。その根底にあるのは、メンバーがお互いに認めあうことなんです」 と、物静かに話しはじめた田村佳照は、AirStationファームウェア開発グループのリーダー。グループをまとめる立場として、人と人のコミュニケーションの大切さを痛切に感じており、一人の技術者として活動していた時とは比べようもなく自身が変革したようです。
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自分の仕事をしてはいけない?!
「ファームウェアとは、ソフトウェアの一種。私たちが携わっているのは、AirStationのハードウェアに読み出し専用のROMとして内蔵されているファームウェアの開発です。ファームウェアは無線LANの心臓とも言える部分です。でも、どれだけ慎重に開発をしても、どこかにバグが潜んでいるのが私たちの宿命なんです。だからこそ、そのために生じる不具合の解決のためには良質なコミュニケーションが必要なんです」 そこで彼が行ったことは、スタッフそれぞれの得意分野を見極めること。そのうえでコーディングやテスティングなど、開発作業のさまざまな行程を分割作業に。さらに、グループのリーダーとして、一人ひとりのスタッフから仕事の状況をこまめに聞き取りして、コミュニケーションを密にすることで、スタッフ全員がお互いにフォローできる環境を作り上げたのです。このチームワークこそが今日のAirStationの地位を担ったのです。
「しばらくして気がついたのは、自分が実際の仕事をしちゃいけないということ。決してサボろうというわけじゃないですよ(笑)。一歩引いて進行状況の全体をつねに見回し、無駄なエネルギーを費やしている部分をなるべく少なくするようにかじ取りをするんです」 そこで要求されるのは、技術者としての能力を裏付けにして仕事の進行を把握し的確に指示ができる資質。それに気付いたことによって、彼自身の将来の方向性も明確になってきたといいます。
少年時代の経験が現在にも活きる
「ちょっと話はずれますが、私は、自分自身をどこか“パソコン業界の人と違うなぁ”と思ってる面があって、以前から技術者としての仕事のときにも、少しひいて物事を見ていたんです。そのことが逆にいろいろな要素を広い視点からとらえることができ、スムーズな開発作業と、ひいてはより良い製品づくりに結びついているのかもしれません」 大学では応用物理学を専攻していた彼は、素粒子の研究をテーマにしていました。その研究のためにパソコンに接するようになったのですが、それはなんと中学生時代から続いた、長いブランクの後のことでした。 「小学校の高学年から中学生まで、人並みにパソコンに接して、ゲームに熱中したり、簡単なプログラムを作ったりはしていました。でもある日、これは熱中しすぎだからやめようと思ったんですね。それからはもっぱらサッカーに夢中で・・・・・・」
パソコンから遠ざかった理由は、今でははっきりしないと彼は語りますが、独自の微妙なバランス感覚が働いたのでしょう。ともあれ、素粒子研究のシミュレーションのためにパソコンにふたたび接するようになると、子供の頃に熱中していたのとは、違う感触だったとか。つまり、パソコンを趣味や遊びの対象ではなく、便利な道具として冷静にとらえられるようになっていたのです。
優雅な白鳥も水面下では・・・・・・
「学生時代までは、もっぱらパソコンを使う立場でしたから、ソフトウェアの設計に携わるようになった新人の頃は、仕事と勉強を並行してしていたようなもの(笑)。最初は一日がかりだった仕事をどんどん効率を上げて、ひねり出した時間に知識やノウハウを身に付けていったんです」 一見、水面を優雅に滑っているように見える白鳥も、水中では、一生懸命に水掻きをうごかしているもの。まわりに悟られないように努力していたのは、特有の美意識なのでしょう。
 こうして着実に技術者としてのスキルを高めて言った彼は、次第に重要なパートを担当するようになります。なかには冷や汗のでるような経験もあったとか。 「なんの製品かは内緒ですが、製品化の最終段階で不具合が発生して、上司から『バックオーダーが億単位!!』と、おどかされたことがあります。さすがにあの時は焦りましたね。でも、何とかしちゃいました(笑)」
新商品開発がこれからの夢
「直近の目標は、なんといっても、グループのメンバーがそれぞれ独り立ちして、私が口を挟まなくてもよくなるようになること。現状は、仕事がうまく回れば回るほど、私の仕事量がふえていくんです。大変なんですから(笑)。もしそれが達成できたら、いまパソコンの周辺機器に何が求められているかの市場調査から始まり、方向性を明確にし研究開発を行った末に、ひとつの製品として世に送りだすまで一貫した商品企画をしてみたいですね」 いつの日か彼の発想が活かされた、さらに利便性の高い製品がデビューする日が来るはずです。どうぞご期待ください。
彼と必ずしも同じではありませんが、バッファローの技術スタッフは、それぞれに理想を抱いて、開発作業を行っています。このコーナーでは、そんな技術者たちの活動をご紹介しています。
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