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Virtual Bank Memory開発記 「自分のなかでは、勝算はあった」

パソコン開発事業部 第一開発グループ ※取材時
豊後 基彦

256MbitDRAMを128MbitDRAMとして動作させる独自技術を搭載した「Virtuak Bank Memory」の開発者、いつもと違った横顔をご紹介します。

豊後 基彦

Motohiko Bungo

愛知県生まれ。'92年入社。

中学生時代からコンピュータに親しみ、ゲーム三昧の生活を送る。高校卒業後、アーケードゲームのメインボードの美しさに出会い、ハード設計に魅かれて現職に。趣味は、カメラ片手に雑貨、食器を求めて旅行。母親の影響で仏像好きになり、カメラ片手に寺社仏閣巡りをしている。理想は「能ある鷹は爪を隠す」普段は静かでも、イザというときに頼れる技術者。

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「なんとかなるだろう」!?

「2002年の5月ごろ、DRAMの値上がりが確実と見られていたんです。で、思ったのが、チャンス到来!しめしめって」
その頃、豊後は、DRAMとDIMMの盲点を応用すれば、動きそうだな、というアイデアを温めていました。
「構造的に、最後の回路で少し違うだけだった。こりゃなんとかなる、と思って、まわりに内緒で開発を始めたら、たぶん出来るなって、Virtual Bank Memory (VBM)ができちゃった(笑)」
天性の明るさを発揮する彼の言い方で表現すると、VBMの開発はとても簡単だったかのよう。しかしそこには、技術者に特有の照れ隠しが含まれています。そこで、もう少し詳細にVBMの開発過程をご紹介しましょう。

最初は、だれにも秘密だった

「自分のなかでは、勝算はあったものの、まだ何もないわけですから、最初は隠密行動。一人密かに、コソコソしてました」
構造的なほんの少しの違いに着目しただけではなく、10円、20円レベルの安価な部品を使って出来ないかと、彼は思っていました。「思った通りで、最初の技術的な課題は、以外にすんなり解決しました。PC66程度のスピードは出せる試作品が出来たんです。でも、そこからスピードアップしようとしたら、もう大変(笑)」
スピードが上がらないメモリを相手に孤軍奮闘している彼のもとに、ある日支援者が登場します。「スピードに悩んでたら、その頃にはまわりにばれてて、『こうしたら?』とアドバイスしてくれる人物が現われて・・・・・・」
それはとてもアナログな手段でした。試作品のパーツを物理的に構成し直すと、なんとPC100程度のスピードを発揮したのです。

ついに社命に!

「8月でしたね。僕がしている開発のことを、社長にポロッと漏らしちゃった人がいたんですよ」
さすが社長で、これはものになると判断すると、その後は、矢の催促が集中したとか。
「もう参りました。『いつスピードは上がるんだ?』『何が問題なんだ?』おしまいには『何をしているんだ?』って勢い。私のことはほっといて、って気分でしたね(笑)。でもいろいろ教えても戴きましたよ。今思うと本当に良かったと感じますよ。」
ここでひとつフォローを。バッファローの社長は、けっして鬼ではありません。企業のトップとして、スタッフの可能性を十分に引き出すのは、大切な職務。普段はとても優しい人物です。

「おまえは、回路のことが、分かっとらん!」

「そんなこんなで、11月には、PC133程度のスピードを達成しました。とはいえ製品化するためには、まだまだ不安定で・・・・・・」
製品として安定したパフォーマンスを発揮できるようにする開発の過程では、ローレベルの回路にハイレベルの信号を、無理やり送り込むという暴挙にもでたとか。
「いつかショートするぞ、っと思ってました(笑)」
行き詰まった彼は先輩に相談しました。そこで言われたのは・・・・・・。
“おまえは、回路のことが、分かっとらん!”という一括。
それから回路設計についてじっくりレクチャーを受けた彼は、おさらいして知識とノウハウを確かにしただけではなく、ローコストの開発方法も考案してしまいました。

社内立てこもり事件

「メモリの試作って、結構な開発費がかかっちゃうんです。しかも、出来上がり待ちの時間が無駄だし・・・・・・」
そこでひらめいたのが、エッチング基板で検証する方法。これは写真の現像作業と同様ですから、そのためには暗室が必要になります。
「給湯室を暗室にしちゃいました(笑)。社内のみなさんには、ご迷惑をかけました。この場をお借りして謝罪します。ごめんなさい」
こうしてVBMの製品化は飛躍的に加速し、ついに最終的な試作品が完成したのです。ところが・・・・・・

最後の壁

「これで万全と思って検証してみると、なぜか動作しない(笑)。これは焦りました。頭のなかが真っ白」
ここで登場するのが支援者。ぼう然とする彼を尻目に検証し“ここの+−が逆ですよ”と、指摘してくれたのです。
「つくづく思いました。のめり込んじゃうと、本人には分からなくなる部分がどうしてもあるんですよ。そんなときにまわりの人の存在がどんなに心強いか」
こうしてVBMは完成し、製品発表にこぎ着けました。

大反響の嵐

「2003年9月4日にプレス発表して翌日には、問い合わせが殺到して、サーバがパンクしそうになったくらい。一番、驚いたのは開発した本人ですね。こんなに反響があるとは思わなかった」
開発作業で彼がもっとも大切にしているのはと尋ねると
「デザインの美しさですね。基板設計を英語でアートワークというんです。そんな表現にふさわしい製品を、これからも生み出していきたいと思っています」

彼と必ずしも同じではありませんが、バッファローの技術スタッフは、それぞれに理想を抱いて、開発作業を行っています。このコーナーでは、そんな技術者たちの活動をご紹介しています。

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